トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
日経平均は16連騰、NYダウも高値更新するなか、ドル円は10月に入り今年一番の低ボラティリティで推移しています。
しかし、長い間レンジが続いていることもあり、そろそろ上下どちらかに振れるのではとの期待感もあります。上下どちらかに振れるのであれば上抜け期待でしょうか。週末の衆院選では与党圧勝の流れを受け、上窓オープンで利益確定の売りをこなしつつも底堅い値動きをしておりアベノミクス継続についてマーケットは好感しているようです。次期FRB議長レースでもポジティブ材料が散見しており、強気のバイアスがかかりそうな展開です。
ドル円115円の条件は整いつつある
今週にも決定する可能性が高いFRB議長人事ですが、こちらはある程度シナリオが見えてきました。共和党がテイラー氏を推薦しているとの報道もあり、現在はパウエル氏とテイラー氏がデッドヒートを繰り広げています。仮にタカ派のテイラー氏が選ばれた場合、金利は急上昇します。厳格なテイラールールに基づく運用を行えばおそらく政策金利は3%を目指す展開となり、ドル円は115円を付けに行きます。
一方、ハト派のパウエル氏勝利の場合もマーケットがある程度織り込んでいるほか、テイラー氏が副議長ポストには指名されるだろうとの予想もあり、下値は限定されそうです。また、2018年のFOMCメンバーの入れ替えについてはタカ派もしくは中立とみられる総裁が投票権を得るため、こちらもポジティブ材料となります。
下げ材料は中国共産党大会が終了したことで北朝鮮の動向から突発的なリスクオフに見舞われる可能性はありますが、気にしていてもきりがないのでここはシンプルに買って行こうかと思います。
テクニカル的な急所は7月11日高値114.50円
テクニカル的にみるとドル円は上昇の急所となる7月の高値114.50円(白線)を抜ければ115円が見えてきます。ただし114円台での売りオーダーも厚く、このあたりをクリアできないとレンジが続いてしまう可能性も否定できません。
ユーロやポンドへのシフトチェンジも
ドル円がこう着状態になるのであれば、動きのあるユーロやポンドへシフトしてもよさそうです。週末に向けては英GDPが本日発表のほか、ECB政策決定会合が明日控えており動意づくには十分です。英GDP発表では先行き不安なBrexit交渉と対照的なイギリスの景気回復を市場がどう受け止めるかがポイントですが、ここ最近中銀メンバーからは利上げに否定的なコメントが多くポンドドル、ポンド円の上値は限定的と見ています。また、ECBも資産買い入れ額が減額となるか、期間はどうなるかがポイントですが、直近の要人発言を聞く限り、おそらくポジティブな内容にはならないように思います。
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