トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
パウエルFRB議長は上院議会証言で堅調な米経済成長を改めて示しました。発言はサプライズが起きることなく、やや面白みに欠ける内容でしたが、「当面ゆるやかな利上げ継続が最善策」としたことで、年内あと2回の利上げが示唆され、ややタカ派となりドル円は113円台に乗る展開となっております。
米中貿易戦争でなぜドル円がさがらない?
米中貿易戦争ですが、緊迫状況(リスクオフ)にも関わらず、円買いではなく、ドル買いで反応しています。教科書通りにいけばドル円は下がりそうな展開ではありますが、今のマーケットは「安全通貨としてのドル買い」「有事のドル買い」として反応しています。腑に落ちない部分もありますが、マーケットは常に変化しており、今のルールに従っていくしかありません。そうなると日米の金融政策が真逆になるうえ、貿易戦争での円買いもないのであればドル円にとってのポジティブです。ドル円の次のターゲットは去年末にもみ合った113円ミドルになります。ここを明確に抜ければ115円の大台の節目も見えてきます。
ただ、今月末にライトハイザー米通商代表と茂木経済財政相による日米通商協議が開催されます。日米貿易是正へ圧力が高まることは必至のため、もし日米の通商問題がテーマとなった場合、リスクオフの円高になるかはしっかりと確認したいところです。
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どうなるブレグジット!不穏な動きを見せるポンドは何処へ
8月2日に行われるBOEでの利上げ期待が高まっており、あしもとでポンドは底堅く推移していましたが、英政府の与党内はブレグジットに対する考え方で分裂しており、ポンドは神経質な展開となりつつあります。
メイ首相は、16日に欧州懐柔派から提出された修正案を承認し、英下院を僅差で通過させました。ただ、EUとの穏健な離脱を望む議員から批判されるなど、板ばさみの状況が生まれており、さらなる修正案が準備されている上院での審議で互いの溝を埋められるか、メイ首相の手腕が試されることになります。
また、EUも離脱による「いいところ取り」はさせないでしょうから、こちらの交渉も難航することが予測されます。現段階ではEU離脱交渉に大きな進展が見られておらず、このままいくとブレグジット最悪のシナリオとしてEUが英国に対して合意のない離脱、いわいる「ハードブレグジット」の可能性も否定できなくなります。残された時間は限られており、英国の今後の交渉次第でポンドは一気に視界不良となるかもしれません。
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