トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
月末、四半期末の突発的なフローに警戒を
本日6月30日は多くの経済指標が控えており、主に欧消費者物価指数、ボスティックアトランタ連銀総裁発言、米ADP全国雇用者数、カナダGDPなどが予定されています。マーケットは前日の米消費者信頼感指数の好結果を受けて、米景気見通しへの楽観が強まりましたが、トレンドを作るまでには至っておらず、本日の米ADP全国雇用者数などの結果を受けて、リスクオンに傾けるかがポイントになるでしょう。
また、本日は月末、四半期末でもあるため、実需の売買や、リバランスのフローから思惑的な値動きにつながる可能性もあります。ここ数か月間の月末の値動きを見るとロンドンフィックスにかけて大きく動く傾向にあり、24時まではチャートに集中し、短期で流れに乗れるのであればついて行っても面白そうです。
米雇用統計はドル高イベントになるのか?
今月6月16日に開催されたFOMCを経て、多くのボードメンバーがタカ派へシフトしました。マーケットは7月のFOMC、もしくは8月のジャクソンホール会議でのテーパリング宣言をメインシナリオとしており、ドルがジリジリと買われる展開です。しかし、パウエルFRB議長の直近の発言を聞くと「インフレは一時的」「予防的に利上げすることはない」として改めてハト派スタンスを貫いており、一本調子に買い進むこともできません。
このようにパウエルFRB議長をはじめFRBの執行部がタカ派というわけではないため、方向性を確かめるうえでも、今週7月2日に発表される米雇用統計は重要度を増しています。米雇用統計の予想は非農業部門雇用者数が69.5万人増加、失業率が5.7%と申し分のない数字が並んでおり、期待値は高まります。
実際に結果が良ければ年内のテーパリングが改めて意識され、ドル高の継続が予想されます。一方で結果が悪かったとしても、米景気回復が進んでいることに疑いはなく、よほどの悪い数字が出ない限り、テーパリング開始のシナリオが崩れるとは思えません。ドルが下がる局面では買い場探しになるのではないでしょうか。
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