FXのチャート分析に欠かすことのできない移動平均線ですが、その目的や場面に応じて期間設定を変えていく必要があります。とはいえ、慣れないうちはどう設定すれば良いのか迷うこともあるでしょう。ここでは不動修太郎さんに、相場に適した移動平均線の設定方法をレクチャーしてもらうので参考にしてください。
※この記事は、FX攻略.com2017年11月号の記事を転載・再編集したものです
荒れた相場では予想が困難に
移動平均線は昔から多くの投資家に愛用されているテクニカルですが、その移動平均線の期間をどのように設定すれば良いか? という質問をよくいただきます。そこで、今回は相場に適した移動平均線の期間設定方法を考えてみましょう。
ある期間の相場の値動きを平均化して、それらを結んだ曲線が移動平均線です。移動平均線は相場の値動きの細かい動きを平均化して長期的な値動きをつかみやすくします。そのため、移動平均線は相場が速く動くと値動きについていけないので、そのような相場環境では正しく予想できません。
基本的にテクニカルは、激しくもみ合う相場や大きく荒れる相場では機能しないことが多々あります。この移動平均線も激しい相場が苦手で、大荒れの状況下では予想を外す確率が高くなってしまいます。
長期移動平均線の活用
テレビの株式ニュースなどでは、75日、200日といった長期の移動平均線を使って長期的な相場傾向を解説するケースが多いですね。移動平均線の期間設定を長くすると相場予想の的中率が高くなり、長期的な相場の方向性が良く分かるので、テレビ番組では長期の移動平均線が好んで使われるのでしょう。
なお、FXで勝率を上げるには長期的に上昇しているのか、下がっているのかのトレンドを知っておくことが大切です。そのために移動平均線の長期線は必ず参考にしましょう。
一般的な設定方法は?
日足のチャートでは、移動平均線の設定として5の倍数である、5日、10日、15日、20日、25日、50日、75日、100日、そして200日が好んで使われます。ですから最初は移動平均の設定は、時間足、分足でも5の倍数で考えてみましょう。ちなみに、株式投資では移動平均線の設定として26日、39日など13の倍数が好んで使われました。
移動平均期間を長い値に設定すると長期的な相場を正しく予想できる確率は高まりますが、一方で直近の値動きに対応できません。相場状況に合わせて移動平均線を設定しましょう。
設定する期間によって反応速度が異なる
それでは、具体的な移動平均線の設定方法について考えてみます。チャート①は、最近のドル円日足の値動きです。赤い破線は為替レートの天井、黒の破線は底の時期を示しています。チャート①の上には20日移動平均線を加え、下には全く同じ期間のチャートに5日移動平均線を書き込みました。そして、双方の移動平均線の頂点に赤い下向きの矢印、谷に青の上向き矢印を付けました。
為替の天底の破線と移動平均線の動きを見比べてください。チャート①の上にある20日移動平均線の上下の動きは実際の為替レートの動きに比べ、大きく遅れてしまっていますが、下の5日移動平均線は遅れが少なく、ほぼ正しく相場を予想できていますね。
このようにチャートを見てどの位の時間、日数で利益を狙うかを決め、それから移動平均線を設定しましょう。チャート①の相場で数日から3週間程度での利益を狙うならば、下の5日移動平均線の設定を参考に売買すべきでしょう。
期間設定を決める際は、最近のチャート上に移動平均線を表示し、期間を長く、あるいは短くしながら適したものを選んでください。私は日足チャートの上に移動平均線を描き、設定期間を25日程度から少しずつ短くして、そのときの相場に最も適した設定を探しています。
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3本の移動平均線でトレンドを見極める
さて、次に短期線(赤)、長期線(青)の他に中期線(黄)を加えたチャート②を見てください。3本の線が、上から順に短期(赤)、中期(黄)、 長期(青)と並んだら上昇、その逆に上から長期(青)、中期(黄)、短期(赤)と並んだら下落と予想します。移動平均線がそれ以外の順序になった箇所を黒の破線で囲みましたが、そのようなところは為替がもみ合っている時期です。冒頭で書いたように、もみ合いの相場は移動平均線の予想が難しいので、売買は控えます。
ハッキリとした上昇相場のトレンドが出ている時期に青い矢印を書き込みました。その時期は3本の移動平均線が右肩上がりで、ローソク足が赤い短期線の上にあります。逆に下降トレンドが出ている時期に赤い矢印を描きましたが、その時期には全ての移動平均線が右肩下がりでローソク足が赤い短期線よりも下になっていますね。強いトレンドが出ている時期は短期間に大きく為替レートが動くので、その流れに乗れば大きな利益が得られます。私はこのような手法で相場のトレンド、方向性を予想しています。
※この記事は、FX攻略.com2017年11月号の記事を転載・再編集したものです
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