FXにおいて時間的な要素を重要視しているという川崎ドルえもんさん。本企画はそんなドルえもんさんに統計的なアプローチから具体的なトレード戦略を教えていただきます。
月足は大きな傾向なし
こんにちは、川崎ドルえもんです。この連載もおかげさまで半年を迎えました、ありがとうございます。今回は過去の相場変動から7月の為替傾向を探っていきます。
7月の月足アノマリーについては、表①を見ると分かるように傾向があまり出ていないので割愛します。ただ、来月号に記載する予定の8月アノマリーは年に一度の円高傾向が強い月なので注目しておいてください。
週足のアノマリー
表②は過去20年間のクロス円週足が陽線になった確率を算出したものになります。見てみると、6月29日からの週の確率がドル円は73%、ユーロ円は70%、NZドル円は67%と全体的に高くなっていることが分かると思います。このことから、6月29日からの週足は円安のアノマリーがあるといえます。
また、翌週(6日からの週)を見てみると、ドル円の陽線確率が27%と低くなっています。陽線確率が低いということは、言い換えれば陰線になりやすいということです。つまり、逆算すると73%の確率で陰線になっていたということになります。このことから、7月6日からの週のドル円は陰線になりやすいアノマリーがあることが分かります。
次にポンドに関する通貨ペアの週足統計である表③を見てみると、7月6日からの週の陽線確率はポンド円が37%、ポンドドルが40%、ユーロポンドが63%、ポンドスイスフランが33%となっています。この確率は陽線確率と紹介しました。したがって、7月6日からの週はポンドスイスフランを筆頭にわずかにポンド安の傾向があることが分かります。
続いて豪ドルに関する為替傾向の紹介です。表④は豪ドル系通貨ペアの週足統計になります。見てみると、7月13日からの週の陽線確率が豪ドル円は60%、豪ドル米ドルは63%、ユーロ豪ドルは40%、豪ドルカナダドルは67%となっています。このデータから、7月13日からの週は豪ドル買いのアノマリーがわずかにあるといえます。
日足から見たアノマリー
これまでは週足の統計データを紹介しましたが、1週間の為替相場営業日は5日あります。なので、その5日間のうち、どこで傾向が出るのかまでは週足データでは分かりません。そこで日足の統計データも見てみましょう。
表⑤は過去20年間のクロス円日足の陽線確率を算出したものになります。見てみると、ほとんどの通貨ペアで6月29日と30日の陽線確率が高くなっていることが分かります。先ほど6月29日からのクロス円週足は陽線確率が高いと紹介しましたが、このデータを見ると週の前半に上昇しやすい傾向があることが分かります。
また、ポンド関連の通貨ペアは6日からの週足で陰線傾向があると紹介しましたが、日足データでのポンド円を見てみると、7日から週末にかけて薄い水色になっています。このことから、6日からの週のポンド円はゆるやかに下落していくアノマリーがあるということが分かります。
次に豪ドル円の傾向を見てみると、13日と14日の陽線確率が高くなっていて、週の後半はそこまで強い傾向がありません。このことから、週の前半に豪ドルが買われる傾向があるということが分かります。
単日のアノマリー
さらに週足では出てこなかった細かい単日の日足傾向も見てみましょう。皆さんも表⑤を見て確率の高い日や低い日を探してみてください。順番に見ていくと、ドル円の21日が21%と低く、陰線がつきやすい日になっています。さらに翌日の22日は75%となっており、陽線がつきやすいです。このようにアノマリーを探していき、取引の参考にすることをお勧めします。
続いてポンド円の13日を見ると81%、14日を見ると75%となっており、陽線になりやすい傾向があることが分かります。さらに豪ドル円の13日を見ると86%で、7月中で一番高い確率になっています。また、翌日の14日も73%と、連続で陽線確率が高くなっています。
2日連続で傾向がある場合は、例えば13日に陽線傾向から外れても翌日に陽線傾向が出てきて損益が改善する可能性もありますよね。そのように考えながら取引を構築していくのです。
最後にカナダドル円を見ると、13日の陽線確率が76%、31日の陽線確率が19%となっています。19%ということは、逆算すると81%の確率で陰線になりやすいということになります。
このように過去の相場から傾向を知ってトレードに生かすことはとても大切です。ただし注意点として、このアノマリーは過去のローソク足から取った統計データであり、実際には傾向とは逆に動く可能性もあります。この点を踏まえた上で取引の参考にしてみてください。
※この記事は、FX攻略.com2020年8月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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