予測と結果の食い違いが指標発表時の値動きを生む
今回は、ファンダメンタルズ分析について考察していきます。まず、「ファンダメンタルズ分析とは?」というところから始めましょう。
ずばり、「重要な経済指標や政策に関するさまざまな事項を総合的に判断して、相場の方向性を把握しようとする分析方法」がファンダメンタルズ分析です。
つまり、さまざまな経済要因をトータルで判断できる知識と、それぞれの経済指標や政策に関する理解が必須となります。
2国間の通貨の関係性が相場に現れるわけですから、経済指標や政策は値動きに非常に大きな影響を与えます。よってファンダメンタルズ分析は、売買の基準としてとても大切な要素です。
しかし、これについて、まちがった解釈をしている方が非常に多いです。
「ある重要な経済指標の発表値を予測し、発表の瞬間にトレードする」
多くの方が一度は思いついたことがあるはずです。
しかし、このやり方にはふたつの重大なまちがいが含まれています。
まず、指標の発表は、前回の数値よりも良ければ高評価、悪ければ低評価になるわけではありません。
ここは非常に大切なので、必ず覚えてください。
前回より良かったら上がるわけでも、悪かったから下がるわけでもないのです。それでは指標発表時の急激な値動きの要因はなんなのか?
答えは予測と結果の乖離(かいり・かけ離れること)です。
経済指標、金利政策などのファンダメンタルズ要因には、すべてに市場参加者の事前予測があります。
前回より悪い予測が強ければ、その通貨は売られます。逆に、前回より良い予測が多ければ、買いが集まります。
これがいわゆる「織り込まれている」状態です。
そして、いざ発表されたときに、予測と結果に乖離があれば、それを埋める値動きが発生します。つまり、前回が100、今回が101だから買われるのではありません。
前回が100で、今回は101になりそうだから事前に買われ、ふたをあけたら前回と同じ100だったので、予想との乖離の分だけ下がる……これが指標発表時に値動きのカラクリです。
よって、発表値を予測して、発表の瞬間にトレードをするのは、上か下かの単純な2択ギャンブルにすぎません。
また、ファンダメンタルズ分析は、さまざまな要素を総合判断する必要があります。
2国間の経済要因をトータル分析して値動きを予想するわけですから、ひとつの指標だけをトレードの根拠とするのなら、これもまたギャンブルの範疇を出ません。
自分で予測しても無意味。市場予測を取引に利用!
それでは実際のチャートに現れた、事前予測と指標発表の関係を見てみましょう。
豪ドルは8月6日に2.75%の政策金利が2.5%に引き下げられましたが、それ以前から利下げの予測が強く、それをほぼすべて織り込んで大きく下げたところで発表を迎えました。
予測通りの利下げの発表後、「豪ドル/円」は反発上昇しています。
その後に一時的に安値を割り込みましたが、そこからは利益確定の買いが売りを上回り、上昇局面となりました。
また、「豪ドル/米ドル」も同じような動きをしました。
もらえる金利が下がればその通貨の魅力は減じるはず。
にもかかわらず、豪ドルがらみのふたつの通貨ペアが利下げをきっかけに上昇局面に入ったのは、まさに事前の予測がレートに織り込まれて、すでに下がりきっていたからです。
なお、政策金利は、指標のなかでもっとも値動きに織り込まれやすいことも覚えておきましょう。
もうひとつ例を見てみましょう。
今年7月の米国雇用統計は、前回の結果に対して市場予測が弱気になっており、上値が重い展開になっていました。そのため、雇用統計前の経済指標が悪い結果であれば、そのたび大きく下落する展開に。
しかし、金曜日の雇用統計では、予想に反して失業者数は前回と同じでした。この結果、事前の悪い予測を織り込んで下落していた分を回復するかたちで急上昇したのです。
これもまた、単純な前回値との比較だけでは説明できない現象であり、予測と結果の食い違いが値動きになる典型例です。
指標発表時の値動きは、予測と結果の乖離により起きる
というわけで、まとめです。
経済指標の発表値そのものの予測は、非常に専門的な知識が必要となるため、専門家であるアナリストの方々にまかせましょう。
私たちは前回値と市場予測を見比べて、相場の方向を確かめ、テクニカル分析の補助として活用しましょう。また指標発表時にはトレードは控え、参加者の反応を見て、次の相場の展開に備えましょう。
とにかく、「指標発表時の値動きは、予測と結果の乖離により起きる」ことは、必ず覚えるようにしてください。(月刊FX攻略.com 2013年11月号掲載)
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