松崎美子

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    2015年9月9日
    ギリシャ総選挙に向けて[松崎美子]
    9月20日、ギリシャでは今年2度目の総選挙が実施されます。1月に最初の総選挙、7月には国民投票、そして9月は新たな総選挙と、ギリシャ国民は投票続きで疲れているかもしれません。先月に議会を解散した時、ツィプラス元首相は9月以降の新政権でも続投することに自信満々でした。「ギリシャ国民は、これ以上の緊縮財政策を望まない。自分が再選したら、債務削減を含め、ヨーロッパにギリシャ側の要求を受け止めてもらおう。」そう願って、解散総選挙を打って出たと私は思っています。 しかし、ここにきて、国民の支持が変わってきたようです。 最近の世論調査結果 ギリシャにはいくつもの政党がありますが、新民主主義党(ND党)とPASOK党が2大政党と呼ばれており、ここが今まで伝統的に政権を握ってきました。しかし、今年1月の総選挙では、緊縮疲れした有権者が反緊縮政党である急進左派連合(SYRIZA シリザ党)を選び、2大政党以外の政権が発足したのです。 解散当時はシリザ党が支持率の3割以上を占め、断トツ有利でしたが、最近になってから、少しづつ変化が出てきました。そしてこの週末に発表された調査ではショッキングな結果となったの…
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    2015年9月2日
    欧州中銀(ECB)理事会に向けて[松崎美子]
    9月3日(木)には6週間ぶりにECB理事会が開催され、ドラギ総裁の記者会見が実施されます。この6週間の間に、原油価格は26%下落したり、中国の人民元切り下げから端を発した世界的な株価下落など、いろいろな出来事がありました。 出展:Stockcharts.com ECB・9月のスタッフ予想 ECBは3・6・9・12月の理事会で、マクロ経済見通しをまとめた「スタッフ予想」を発表します。この発表は、理事会後のドラギ総裁記者会見の冒頭で読み上げる声明文の中に盛り込まれています。 3日(木)に発表されるスタッフ予想では、原油安やユーロ高、中国の景気低迷そして世界的な株価の調整などが原因で、インフレ見通しを下げる可能性が指摘されており、それが先週からのユーロ安のひとつの要因として挙げられていました。 ECBの責務は「物価安定の維持」であり、その達成度を測る物差しとして設定された「インフレ・ターゲット」は「2%以下であるが、2%に限りなく近い」水準となっています。一番最新の消費者物価指数(HICP)を見ると前年比+0.2% (コア・インフレ +1%)となっていますので、まだまだ低インフレ状態であるこ…
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    2015年8月20日
    テロ警戒によりトルコリラ急落[松崎美子]
    一気にリラ安が加速 今週火曜日(18日)の夜、いつものように寝る前にNY時間に出たニュースを調べていたら、「イスラム国(ISIS)が、イスタンブールを征服せよと指令を出す」というロイターの記事が目に飛び込んできました。読んでみると、トルコのエルドアン大統領に対する宣戦布告のような内容で、西側に媚を売る大統領などトルコ国民はさっさと見捨てて、その証にイスタンブールを征服すべきであるという内容でした。 翌日起きて、トルコ・リラの水準を見ると一気にリラ安が加速していたので、「こりゃ、イスタンブール征服よりも、これをきっかけとしたISISやPKKによるテロ活動がトルコ国内で活発になると、政治危機に加え、安全保障問題も出てくるよ… リラ円持ってる人達、大丈夫かな…」と友人と話していました。 イスラム国(ISIS)からのメッセージ ISISに対する軍事行動に対し、今までずっと自国基地の使用を認めていなかったトルコ政府ですが、7月20日のトルコ南部の都市:スルチでの自爆テロをきっかけに、シリアとの国境沿いにある過激派組織:ISISの拠点や、イラク北部にあるトルコの非合法武装組織クルド労働者党(PKK…
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    2015年8月12日
    中国人民元切り下げと主要株式指数の急落[松崎美子]
    週明け早々、中国が事実上の人民元切り下げを発表しました。中国人民銀行(中央銀行)は今週火曜日の朝、毎営業日ごとに設定している人民元の中心レートを1.9%引き下げましたが、この引き下げ幅は過去最大だったそうです。 欧州時間に入ってからというもの、世界的景気減速懸念が高まり、典型的なリスク・オフ相場へ突入。ドイツだけでなくスペインやイタリアを含む各国の国債需要が高まり(国債利回り低下)、株価は下落でスタートしました。そしてニューヨーク市場が開いてからは、更に株価下落が加速しましたが、私が注目していたドイツの主要株式指数: DAXは、311.13ポイント下げて、11,293.65で終了、前日比マイナス2.68%となっています。 ECB相場の巻き返し 今年3月に、欧州中銀(ECB)は、国債購入も含む量的緩和策(QE)の導入に踏み切りました。年初よりQE実施は時間の問題と見られていたこともあり、欧州各国の株価指数は年明け早々大きく上昇しました。特に順調に景気回復を達成していたドイツまでもが、QEの恩恵に恵まれるということで、独DAXの上昇は群を抜いており、今年1月の安値である9382.82から1…
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    2015年8月5日
    英中銀からの発表方法の変更[松崎美子]
    米英欧それぞれの中銀は、金融政策に関する発表を独自のタイミングで行っています。まずそれをご紹介しましょう。 ※ ただし、第一週が月曜日から始まらない月は、第二木曜日となる ※※ ただし、第一週が月曜日から始まらない月は、第三木曜日となる そして、2015年8月からBOEだけが、これら3つを全て同じ日に発表することになりました。つまり今週木曜日(8月6日)には、① 政策金利の発表 ② 議事録 ③ 四半期インフレーション・レポート ④ インフレ・レポートに関する記者会見全てが発表されるのです。この変更の根拠について、カーニー総裁は、「全て一緒に発表する方が中銀の決定内容に対し透明性が出るからだ。」と仰っていますが、マーケット参加者にしてみれば、迷惑な話です。 発表時間 気になる発表時間ですが、以下の通り決定されました。 つまり、ロンドン時間昼12時に全て発表され、その45分後に記者会見という運びです。四半期インフレーション・レポートは通常50ページ以上に及ぶ長いレポートですので、果たして45分間で全内容が把握出来るのかは疑問ですが、少なくとも記者会見が12時にスタートしないのは、ありがたい…
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    2015年7月28日
    中国とコモディティー相場[松崎美子]
    私は今年6月に日本へ一時帰国しました。その時マーケットで一番話題となっていたのが、ギリシャ危機と中国株式市場の急落でした。それから1ヶ月が経った今、ギリシャ問題はひとまず8月中旬までお預けですが、中国に関しては新たな市場のかく乱要因となってきました。ここでは、最近のマーケットを動かしている2つの材料である中国株式とコモディティー相場について書いてみたいと思います。 中国株式市場、パニック売りへ? 今年6月12日に高値をつけてから、7月8日までの約1ヶ月の間に30%を越す急落となった上海総合指数。 この下落を止めるために、中国政府は、 ・6月27日に、中国人民銀行は金利を0.25%カットした ・5%以上の株主に対する「半年間株式売却禁止令」 ・政府系投資会社/証券会社/生命保険会社などによる株式買い入れ など、市場への介入を意図した株価政策を発表しています。世界のマーケット関係者は、これでひとまず一段落かな…と思っていたのですが、今週月曜日の上海総合指数は、2007年2月以来最大の株価下落を記録しました。 これは7月17日から24日までの一週間に起きた中国とコモディティー市場での出来事を…
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    2015年7月17日
    最初に瞬きをしたのは、ギリシャだった[松崎美子]
    Who blinks first? 今年1月末、ユーロ圏ではじめて反緊縮財政策を支持する左翼:急進左派連合(SYRIZA党)政権が誕生したギリシャ。2010年から始まったユーロ圏債務危機以降、GDPはピーク時から25%も縮小し、失業率も25%を越えることが日常化していたことを考えれば、有権者が反緊縮政党に票を入れたことは、想像に難くありませんでした。しかしSYRIZA党が政権を取った瞬間から、ギリシャ向け第2次金融支援延長を巡り、債権団との間で意見の対立が顕著となりました。 今回のギリシャ危機を巡る報道で何度も繰り返し使われた言葉は、「Who blinks first? (誰が最初にまばたきをするのか?)」というものでした。この意味は、例えば睨めっこをして最初に瞬きをした人、またはポーカー・ゲームの最中に敵に対して最初に自分の手の内を見せてしまう顔の表情をしてしまった人のことを指します。つまり、最初に瞬いた人が負けとなるのです。 今週日曜日に開催されたユーロ圏首脳会談(サミット)は、サミットとしては最長記録の17時間に及ぶ長丁場となりました。その席でドイツ財務省が「5年間に渡る一時的な…
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    2015年5月27日
    時限爆弾となってきたギリシャ危機[松崎美子]
    2009年にギリシャ債務危機が発覚してから、早6年。その間、ギリシャ財政を巡る「ギリシャ危機」は、出ては消え出ては消えを繰り返してきました。今年1月のギリシャ総選挙では、金融支援を受け取る交換条件として、欧州側から要求された緊縮財政策を国民に押しつけてきた2大政党が大敗し、その代わりに、反緊縮財政策を支持するSYRIZA党が与党となりました。ここから「2015年版ギリシャ危機」がスタートしてしまったのです。 Xデーは、6月5日 ギリシャ向け第2次金融支援の期限は、昨年12月末に設定されておりましたが、年明け早々に総選挙が待っていたこともあり、何度かの延長を繰り返し、今年6月30日が「本当の最終期限」に決定されました。反緊縮政権の誕生と同時に、交換条件の内容を緊縮度のやや弱いものに変更するため、内容の合意期限を4月末に設定しておりました。しかし、結局何も決定できず、ズルズルと現在に至っています。 連日ギリシャ関連の報道を目にしますので読者の皆さまもご存知でしょうが、ギリシャ政府の資金枯渇問題を受け、5月20日にギリシャ議会のフィリス議長が、「IMF向けの最初の償還金支払いが控えている6月…
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    2015年5月20日
    マーケットのテーマを探る[松崎美子]
    今年に入ってからのマーケットの主要テーマは、「アメリカの利上げ時期」、そして、「ギリシャ危機」の2つであったと私は認識しています。しかし、ここ1カ月くらいは、この2大テーマに加え、【原油価格の動向】が、大きく相場を左右するようになりました。 原油価格とドルの関係 2014年6月に高値をつけて以来、下落に下落を重ねてきた原油価格。この原油価格と正反対の動き(逆相関関係)をするドルは、原油の下落に歩調を合わすかのように、上昇につぐ上昇を重ねてきました。 原油データ:米エネルギー情報局(EIA) ホームページ ドル実効レートデータ:米FRBホームページ しかし、今年3月18日に実施された米連邦公開市場委員会(FOMC)で、「利上げ時期後退の可能性」や「ドル高の弊害に関する言及」が飛び出したことを受け、それを嫌気したマーケットでは一気にドル売りが噴出したのです。ドルの動きと逆相関関係にある原油価格は、このFOMCからの発表を受け、下落がピタッと止みジリジリ上昇に転じたのです。 原油価格に影響を与えるのは、ドルの動きだけではありません。やはり、商品価格ですので、一番影響を与えるのは需給の関係です…
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    2015年5月13日
    ギリシャ危機とマーケットの反応[松崎美子]
    今週は、月曜日にユーロ圏財務相会合が、火曜日にはEU財務相会合が続けて開催されました。そこでは、またしても「ギリシャ危機」について協議が行われましたが、これといった合意には至らなかった模様です。そもそも2009年にギリシャ債務危機が発覚して以来、マーケットは何度も「ギリシャ危機」に直面し、それなりに対応してきました。そのせいなのかわかりませんが、最近はちょっとやそっとの問題がギリシャで起きても、マーケットは反応しなくなっています。 どうして合意に、これだけ時間がかかるのか? これには数々の意見がありますが、私が考えるには、ギリシャのSYRIZA新政権が国家存続に向けた優先順位を誤ったからではないかと考えています。そこが政治の難しいところなのでしょうが、選挙公約通りに反緊縮政策への転換を優先すべきなのか、何よりもギリシャがユーロ圏に残留することが一番大事なのか、それを考えればおのずと答えは出てくると思います。 以前、著名な投資家であるバフェット氏が、「グループに所属(ユーロ圏)しているのであれば、そのグループのルールを守らなければならない」と発言していますが、本当にその通りだと思います。…