佐藤りゅうじ

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    2021年1月10日
    素材価格から見るコロナ禍[佐藤りゅうじ]
    銅と木材をクローズアップ  新型コロナウイルスの影響を受けて、今年3月、米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめ主要国の中央銀行は超緩和政策にかじを切りました。FRBのバランスシートを見ると、今年3月の4兆ドルから7兆ドルにまで急拡大しています。  今回は、日常生活ではあまり注目されることのない素材価格、特に銅と木材にスポットを当て、コロナ禍の中、両商品に何が起きているか見ていきたいと思います。 景気のバロメーター銅  まずは銅から見ていきましょう。銅は耐腐食性、導電性、熱伝導性、殺菌性、加工性などに優れているため、電線・電子機器のパーツをはじめ、さまざまな用途で使われ、多くの産業を支える存在です。そのため銅需要は、住宅、公共インフラ、製造業の実態を映し出します。  一方、供給は安定しており、需要の増減が比較的素直に価格に反映されることから、銅価格は「景気のバロメーター」と呼ばれます。現在、銅需要の半分以上が中国であり、銅の国際指標価格となるのはロンドン金属取引所(LME)に上場されている銅3か月物です。  価格推移(チャート①)を見ると、今年1月に6346ドルの高値をつけましたが、その…
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    2020年12月13日
    ゴム相場急回復 景気回復と供給不安[佐藤りゅうじ]
    12年ぶりの安値からの急回復  2020年8月号で天然ゴム相場について書かせていただいたとき、ゴム相場は新型コロナウイルスの影響から、2009年3月以来となる約12年ぶりの安値まで急落し、その後の戻りも鈍く、新型コロナウイルスの感染がさらに拡大すれば、もう一段安も危惧される状況でした。しかし、その後30%以上の上昇を見せています。  今回は、コロナ禍が続く中、素材である天然ゴムに何が起こっているか、見ていきたいと思います。  まず、今年のゴム相場を東京ゴム先限(呼び値1キログラム)のチャートを見ながら簡単に振り返りましょう(チャート①参照)。  昨年10月からの米連邦準備制度理事会(FRB)のステルス緩和を受けて、世界的に株価が上昇すると、これに追随し天然ゴム価格も上昇。1月17日には、208.7円まで水準を引き上げました。ただ、1月の上昇場面は当先の順ザヤが32円超まで拡大(現物価格は上昇が鈍い)し、実態がついてこず、人気先行の上昇でした。  そして、新型コロナウイルスが中国の武漢で発生すると急落を開始し、1月21日に大節の200円を下抜くと、2月4日には165.6円まで下落しました…
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    2020年10月31日
    銀主導で貴金属全面高 金は史上最高値更新[佐藤りゅうじ]
    銀は11年ぶりの安値からの反騰  前号で金(ゴールド)が上値追いの展開となっていると述べましたが、買いの触手はゴールドだけではなく銀(シルバー)、そしてプラチナ、パラジウムへも伸び、貴金属市場は全面高となっています。ゴールドは過去最高を更新しました。そして、その引き金はシルバーの急騰でした。  今回は、貴金属の中でも暴騰し、5年ぶりの高値をつけたシルバーを中心に、貴金属市場を見ていきたいと思います。  7月27日、ゴールドは1940ドルまで上昇し、2011年9月につけた高値1920ドルを上抜き過去最高を更新しました。7月21日時点では、ゴールドは1820ドル付近で上値を押さえられていましたので、わずか5営業日で120ドル超の上昇です。この急騰のきっかけを作ったのが、シルバーの急伸でした。  今年に入ってからのシルバーの値動きを見ると、年初から2月くらいまでは17~18ドル前後の狭いレンジ取引となっていました。3月に入ると、新型コロナウイルスの影響から金融市場が全面安となると、シルバーも3月18日には11.62ドルと2009年1月以来、11年ぶりの安値をつけました。 有史以来の金銀比価 …
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    2020年10月5日
    ゴールドが上値追いの展開[佐藤りゅうじ]
    乱高下を繰り返すも上昇基調で推移  金(ゴールド)が上値追いの展開となってきました。本誌2019年11月号では、「1600ドル台を目指すか」と述べましたが、既に同水準を上抜き、1770ドル台まで上昇し、8年ぶりの高値をつけました。また、日本国内の金小売価格は、40年ぶりの高値6100円台まで上昇しています。昨年から引き続き、多くの要因がゴールドの価格を後押ししています。今回は、騰勢を続けるゴールドの上値を考えていきましょう。  まずは、年初からのゴールドの値動きをみていきましょう(チャート①参照)。今年は1517ドル付近から取引が始まりました。1月3日に米軍がイラクでイランのソレイマニ司令官を爆殺すると、市場はリスクオフとなり、安全資産としてゴールドと円、米国債が買われ、ゴールドは節目の1550ドルを突破しました。同月8日にはイランがイラクにある米国軍基地に対し報復爆撃を実施し、2013年3月以来の1610ドルまで水準を引き上げました。  その後、株高を背景に1536ドル前後まで軟化する場面がありましたが、新型コロナウイルスの災禍が広がり、株価が下落すると、2月18日には1600ドル台…
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    2020年8月28日
    天然ゴム復活なるか[佐藤りゅうじ]
    12年ぶりの安値をつける  今年の2月号で天然ゴム相場について書かせていただいたとき、東京ゴム先限はキロあたり200円以上、需給関係に変化の兆しがあり、一段高の可能性もあるとしました。しかし、新型コロナウイルスの影響から相場は一変しました。一時、2009年3月以来の安値まで急落、その後、やや水準を引き上げていますが、戻りは鈍いです。今回は、急落したゴム相場の今後を考えてみます。  まず、今年のゴム相場を東京ゴム先限(呼び値1キログラム)のチャートを見ながら簡単に振り返りましょう(チャート①参照)。昨年10月からの米連邦準備制度理事会(FRB)のストレス緩和に呼応し株式市場が上昇を始めると、天然ゴム価格も上昇を開始し、今年1月17日には208.7円まで水準を引き上げました。ただ、1月の上昇場面では出来高を伴っていない上、当先の順ザヤが32円超まで拡大(現物価格は上昇が鈍い)していました。まさに天井圏の動きでした。  そして、このタイミングで新型コロナウイルスの災禍が中国の武漢を中心に広まっていきました。ゴム相場は急落を開始し、1月21日に大節の200円を下抜くと、同月27日には170.0…
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    2020年7月26日
    新型コロナウイルスと商品相場[佐藤りゅうじ]
    上値追いのゴールド  国際通貨基金(IMF)は4月14日に改定した世界経済見通しで、2020年の成長率予測をマイナス3.0%に引き下げました。クリスタリナ・ゲオルギエワ専務理事は会見で、今回の新型コロナウイルスの災禍は2009年の金融危機時を超えて「大恐慌以来の経済悪化」となる懸念があると述べました。  全世界に景気後退を巻き起こす可能性が高まっている新型コロナウイルスですが、商品市場の反応はさまざまです(チャート①参照)。今回は前号に続き、新型コロナウイルスがもたらした商品相場の変化を見ていきます。  新型コロナウイルスの影響を最も受けている商品の一つが金(ゴールド)です。日本でも、東京商品取引所の金先物が大きく値上がりし、4月15日の夜間取引で指標価格は一時1グラムあたりで5989円をつけ、1982年3月23日の取引開始以来の過去最高値を連日更新しました。ドル建てゴールドは、4月14日に1746ドルまで上昇し、2012年10月以来の高値をつけました。世界最大のゴールド上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールド・シェアの残高も1017トンと、1000トンを超えており、ゴールドへの資…
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    2020年6月26日
    原油相場が暴落 サウジVSロシア[佐藤りゅうじ]
    2002年以来の安値  新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、金融市場は大荒れとなっています。ダウ平均株価は、1日で2000ドル超の値動きを見せ、異様ともいえる展開となっています。この金融市場の大混乱を助長したのが、原油価格の暴落と考えられます。今回は、19年ぶりの安値まで暴落した原油相場の行方を考えていきたいと思います。  3月6日、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアをはじめとする非加盟国(いわゆるOPECプラス)の閣僚会議で、OPECによる追加減産と減産延長に関する提案をロシアが拒否しました。これにより、2016年12月に合意したサウジアラビア主導のOPECプラスの協調減産が終わりを告げ、一転して価格競争へと突入しました。  NY原油は、協調減産体制の崩壊を受け、3月6日に約10%下落し、41.28ドルで引けると、週明けの9日は米国株の暴落もあり、場中に27.34ドルまで下落。そして、20日に2002年2月以来の安値となる19.46ドルまで一時下落しました(チャート①参照)。 各国増産体制へ  暴落の背景には、産油国が増産体制にかじを切ったことが挙げられます。協調減産の崩壊…
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    2020年5月28日
    商品相場から見る新型コロナウイルス[佐藤りゅうじ]
    新型肺炎の影響  新型コロナウイルスが年初から猛威を振るっています。厚生労働省によると、2月23日現在、国内感染者は132名(患者113名、無症状病原体保有者16名、陽性確定3名)だそうです。感染経路が不明のケースも見られるようになっています。中国では、感染拡大ペースは減速してきたとの話も聞かれますが、日本での感染拡大はこれからのようです。今回は、商品相場から見えるコロナウイルスの災禍とお金の流れについて見てみたいと思います。 金(ゴールド)が上伸  まずは、チャート①をご覧ください。これは主要商品、主要株価指数、米10年債の年初から2月21日までの騰落率(終値ベース)を示したものです。年初から比べて上昇しているものが、ドル建て金(ゴールド)、米10年債(利回り低下、価格は上昇)、S&P500、ダウ平均株価です。一方、下落しているものは日経平均株価、シカゴ大豆、LME銅、そしてNY原油となっています。  特に金の上昇が目立っています。年初から8.33%の上昇となっており、価格的には1517ドルから1648ドル(日中足)まで水準を引き上げました。これは、2013年2月以来、7年ぶりの高値…
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    2020年5月5日
    パラジウム異次元へ[佐藤りゅうじ]
    短期的には上昇の最終局面入りか  パラジウムの爆騰が止まりません。今年に入ってわずか10営業日超ですが、年初から既に26%上昇しています。ドル建て現物価格は一時2543ドルまで上昇し、先物の貴金属市場(金、銀、プラチナ、パラジウム)では、史上最高値をつけています。2020年1月号では、長期的に2000ドルを目指すと書きましたが、まさか4月号の執筆時点で2500ドルを超えるとは予想していませんでした。今回は、爆謄を続けるパラジウムの現状、そして今後の動きを考えていきましょう。  まず、チャート①をご覧ください。今年1月からのパラジウムの価格上昇のすさまじさがご理解いただけると思います。昨年12月31日以降、1月17日まで陰線はありません。昨年末は1942ドルだったものが、1月17日には2543ドルまで水準を引き上げました。約31%の上昇です。今年に入ってからの値幅を見ると、一日の平均が75ドル、特に1月16日は113ドル、17日は220ドルと歴史的な上昇を演じました。  これほどの爆謄となると、ファンダメンタルズうんぬんの話だけではありません。今年に入り、とりわけ1月13日以降に起きてい…
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    2020年3月31日
    2019年商品相場総括[佐藤りゅうじ]
    騒乱と新秩序の元年  2019年、米中貿易摩擦、英国のブレグジットをめぐる混乱、香港問題、ラガルド欧州中央銀行(ECB)新総裁の誕生など、さまざまな出来事が起こりました。後世の歴史家たちは、この年を騒乱と新秩序の元年と考えるかもしれません。  相場として見ると、政治家などの要人発言や政局にずいぶん振り回された一年であったように思います。株式相場では、米国の主要株価指数が史上最高値を更新するなど非常に好調でした。一方、為替相場はドル円、ユーロドルが過去最少の年間変動率(2019年12月13日現在)となっています。相場によって全く違う顔を見せた2019年ですが、今号では商品相場の2019年を振り返ってみたいと思います。 パラジウム最強時代  まず、今年の主要商品の騰落チャート(2019年12月13日現在、チャート①)をご覧ください。きれいな右肩上がりで、しかも年間50%以上の上昇となっている緑色の線がパラジウムになります。  1月号でパラジウムについて述べましたが、そのときは1700ドル台後半であり、長期的には2000ドルが視野に入るとしました。しかし、なんと12月13日には1981ドルま…