トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
シリア情勢、日米首脳会談、南北首脳会談、米中貿易戦争と目先のリスクイベントを無難にこなしたことでドル円は堅調です。110円台が視野に入り、足元では200日移動平均線の差し掛かる110.22円付近を目指す局面です。そうしたなか、週末にかけてFOMC、米雇用統計といったビックイベントが続きますので米経済指標をしっかりと確認しておきましょう。
FOMCは声明文が焦点!年内利上げ回数がポイントになる
まず、今回のFOMCですが、政策変更の予定はなく、6月の利上げもすでに織り込まれているため、焦点は声明文の内容になります。利上げペースが年3回なのか、4回なのか現時点では判断の難しいところです。実際CMEのFedWatchを見ても年内利上げ確率は3回と4回で拮抗しているのがわかります。このようなコンセンサスで迎えるFOMCなだけに上下どちらにも振れやすい展開が予測されます。予想は難しいものの、米ファンダメンタルの勢いを考えるとややタカ派的な文言が追加されるのではないかと思います。
また、明日3日の米貿易収支も気になるところです。トランプ政権の通商政策のターゲットにされやすく対中と対日で貿易赤字がどれくらいになるのかは、チェックすべきポイントになります。
米雇用統計は引続き平均時給が焦点
米雇用統計は引続き平均時給が焦点です。完全雇用状態にある米国は雇用者数変化や失業率という「量」では反応しにくい現状です。市場が最も注目する平均時給のコンセンサスは、前月比+0.2%(前回+0.3%)前年比+2.7%(前回+2.7%)と前回からやや減速すると予想されています。仮に平均時給が上振れた場合、教科書通りにいけばドル上昇と考えられますが、2月の米雇用統計では平均時給上振→米金利上昇→NYダウ下落→リスクオフ→ドル円下落というシナリオになったことは記憶に新しいところです。緩やかな金利上昇であればドル円にとってもポジティブに受け止められるものの、金利が急上昇した場合はネガティブとなる可能性もありますので注意してください。
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中期的にドル円はどっちに向かう?
様々な意見がありますが、個人的には中期展望でドル円はダウンサイドを見ています。なぜならばトランプ政権の狙いはドル安にあると思っているからです。米中間選挙に向けて通商政策と自国通貨安で貿易赤字を解消するというのが最も有権者にわかりやすいシナリオだからです。ただ、数週間後とされている米朝首脳会談を成功させたいトランプ政権ですから本格的に通商政策のカードを切るのは首脳会談後になると考えられます。足元は良好な米ファンダメンタルに目が行きやすくドル円は上昇しやすいものの、秋の中間選挙に向けては下落を予想しています。
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