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あなたの知らないテクニカル指標の世界|第4回 Aroon ( アルーン )[山中康司]

移動平均線やRSIなど、多くの市場参加者が見るメジャーな指標は王道の分析ですが、必ずしも自分に合うとは限りません。ここでは本誌にあまり登場しない指標を、インジケーターの造詣に深く分析のプロフェッショナルである山中康司さんに解説していただき、奥深いテクニカル分析の視野と選択肢を広げていきましょう。

トレンド3要素を見る順位相関系テクニカル

 Aroon(アルーン)とは、サンスクリット語で「夜明けの光」という意味で、売買システムの開発者として有名なトゥーシャー・シャンデ博士により開発されたテクニカル指標です。当初は「Chande’s Aroon(シャンデのアルーン)」と呼ばれていましたが、今では単にアルーンとのみ呼ぶことが多くなりました。

 シャンデ博士はアルーン以外にも多くの指標を開発しましたが、アルーンはあまり種類が多くない「順位相関系テクニカル指標」という点で注目度が高いといえます。おそらく順位相関系の指標というと、RCIしか使ったことがない方も多いと思いますが、アルーンはトレンドの有無・方向・強弱の三つを知ることができる使い勝手の良い指標です。

Aroon(アルーン)の計算式

 アルーンはAroonUP(以下、アップ)とAroonDOWN(以下、ダウン)の二つのラインが表①の計算式でサブチャート上に表示されます。表①では標準的なパラメーターである14日を使用しています。また、アップとダウンの差を表したアルーン・オシレーター(以下、オシレーター)という指標も別でサブチャートに表示すると便利です。

Aroon(アルーン)の分析方法

 アルーンは主に以下の三つの視点で判断します(表②)。

Aroon(アルーン)の分析方法

①エクストリーム

エクストリーム

●アップが100に到達
→ 上昇トレンドの発生
→ 70〜100を推移中はトレンド継続
(同時にダウンが0〜30であれば、より強い上昇トレンド)

●ダウンが100に到達
→ 下降トレンドの発生
→ 70〜100を推移中はトレンド継続
(同時にアップが0〜30であれば、より強い下降トレンド)

 エクストリームは、アップあるいはダウンが70~100の間で推移している状態で、トレンドが発生していることを示します。このエクストリームがアルーンの判断で最も重要な視点です。アップが100に到達したことをもって、上昇トレンドの発生を確認します。その後アップが70~100の間で推移している間がトレンドの継続となります。同時にダウンが0~30の間で推移していれば、より強い上昇トレンドとなります。

 反対に、下降トレンドの発生はダウンが100に到達したことで確認します。その後、ダウンが70~100の間で推移している間はトレンドの継続です。同時にアップが0~30の間で推移していれば、より強い下降トレンドとなります。

②クロスオーバー

クロスオーバー

●アップがダウンを下から上にクロス → 強気トレンド

●ダウンがアップを下から上にクロス → 弱気トレンド

 クロスオーバーは、アップとダウンのクロスのことです。アップがダウンを下から上にクロスすれば強気トレンド、ダウンがアップを下から上にクロスすれば弱気トレンドとなります。

 この強気と弱気を判断する場合は、オシレーターを見る方が便利です。0ラインの上抜けは強い地合い、0ラインの下抜けが弱い地合いを表します。クロスオーバーの判断で、簡易的な売買のタイミングを見る際にはこちらだけでも十分かもしれません。ただし、オシレーターだけでは重要なエクストリームの判断ができないため、アルーンでエクストリームの状況もしっかり確認することをお勧めします。

③パラレル

エクストリーム

●アップとダウンが近い水準を平行に推移 → もみ合い

 パラレルは、アップとダウンが似たような水準で平行に推移している状態を示します。パラレルのときはもみ合いと考えられるため、トレンドに乗る場合にはエクストリームかクロスオーバーによるトレンド発生までは待ちとなります。

実際のチャートでAroon(アルーン)分析

 TradingViewでは「Aroon」で検索すると出てきます。実際にポンド円の日足チャートで確認してみましょう(チャート①)。オシレーターは同じ検索で公開ライブラリに上位に表示される「Aroon Oscillator」を使います。

チャート① ポンド円日足

出所:TradingViewによるGBPJPYチャート

 青い矢印のタイミングでダウンが100に到達し下降トレンドが発生します(黄色の範囲)。そのうちの色が濃い期間はアップも30以下で推移しているため強い下降トレンドを示します。またクロスオーバーをオシレーターで確認すると、同期間は0ラインを下抜けており弱い地合いであることが分かります。

 次に赤い矢印ではアップが100に到達し上昇トレンドが発生しました。同時にダウンが30以下で推移しているため強い上昇トレンドになります。こちらもクロスオーバーをオシレーターで確認すると、同期間は0ラインを上抜けているので強い地合いで継続していることが確認できます。

 どちらの場合もトレンドを示す方のラインが70以上で継続的に推移しているエクストリームが重要だということが理解できると思います。また、水色で囲った区間がパラレルに該当します。アルーンはもみ合いも判断できますが、やはりトレンドの発生と継続を判断することに優位性のあるテクニカル指標として利用するのがお勧めです。

※この記事は、FX攻略.com2021年5月号(2021年3月19日発売)の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

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ABOUT ME
山中康司
やまなかやすじ。1982年バンク・オブ・アメリカ入行、1989年バイスプレジデント、1993年プロプライエタリー・マネージャー。1997年日興証券入社、1999年日興シティ信託銀行為替資金部次長。2002年アセンダント社設立・取締役。
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