荒野浩の相場を極める相場を楽しむ|第2回

荒野浩の相場を極める相場を楽しむ|第2回

 連載1回目は基本中の基本について書きましたが、2回目からはより実践につながるリポートを心掛けたいと思います。 今月号では日々の終値から1年までの、短期・中期・長期の移動平均株価の傾き、それぞれの位置関係で何が分かるかについて考えます。

■相場の「流れ」「転換点」は、移動平均株価の「傾き」と「位置関係」で判断する

 重視する株価は日々の終値、1週を意味する5日移動平均線(以下、5日線)、1か月の20日移動平均線(以下、20日線)、3か月の60日移動平均線(以下、60日線)、100日移動平均線、6か月の120日移動平均線(以下、120日線)、1年移動平均線(以下、1年線)です。

 それぞれの傾きや位置関係によって、相場の流れ・転換点を見極めることが可能だと考えています。それでは長期・中期・短期へと話を進めていきます。

2012年10月から2020年2月までの日経平均株価

出所:TradingViewによるNI225チャート

日経平均株価に60日線を表示させた日足チャート

出所:TradingViewによるNI225チャート

■中長期の株価の「基調」を決めるのは、1年線の傾きと60日線と120日線の位置関係

  • 1年線が上向きで、60日線>120日線の状態となっていたら基調は「上」となります。

 1年線が底入れから上向きに転じ、長期間維持することで、トレンドは上昇傾向となります(表①)。

 1年線が上向きということは株価が1年前の株価水準を上回り続けるということです。前年同期の株価からは今回も上向きを1年程度は維持できそうです。

1年線が底入れから上向きに転じ、長時間維持した期間

60日線と120日線の位置関係が重要となる

 1年線の傾きと共に、中長期の基調を見分ける上では60日線と120日線の位置関係が重視されます。上昇基調という意味では60日線>120日線の位置関係を長い間維持することが重要になります。

(60日線>120日線)の状態が長期化したケース

 表②はここ7年で60日線と120日線がゴールデンクロス(GC)状態にあった期間と日数、GC日と高値の株価です。60日線と120日線のGC(2012年10月以降)の状態即ち、60日線>120日線の状態が長期化すればするほど天井は高くなります。

 前述した二つの条件を同時に充足した期間、すなわち1年線が上向きで、60日線>120日線の状態は上昇力が強いということです。これを維持した期間をまとめると表③のようになります。中長期的に基調は「上」で、上値を追い続けている期間といえます。

1年線が上向きで(60日線>120日線)の期間

 ここでの注意点は中長期的な上昇基調の下でも表④のように1か月程度の短期の調整があることです。

短期の調整事例

  • 20日線と60日線の重要性

 60日線は中期の相場の強弱を見るのに使い、短期の流れは20日線と60日線の関係性を見ます。

  • 5日線と20日線のクロス

「堅調相場」か「軟調相場」の判断に使用します。さらに20日線の傾きと合わせて複合的に見ると、より明確になります。

  • 20日線に対する乖離率で見る転換点

 保ち合い相場…±2%以内。強調相場は+2%の乖離率が途切れると終了します。マイナス1%以上の乖離率が持続中は軟調相場です。

■60日線と20日線の傾きと終値との位置関係

 株価は短期・中期の視点からは1か月サイクル・3か月サイクルで形成されます。60日線、20日線がより重要性を増します。

 前述した中長期的な基調は「上」と定義した期間内でも株価に最も勢いがあるのは60日線が上向きで、終値が60日線を上回っている期間(表⑤)です。

60日線が上向きで、120日線>60日線が3か月以上続いた場面

■60日線で中期の相場の強弱を計る

  • 60日線が「上」向きで、終値>60日線が3か月以上続いた場面は株価に最も勢いがある期間。60日線を守ることは必須です(表⑤)。

60日線が上向きで、120日線>60日線が3か月以上続いた場面

  • 60日線が「下」向きで、60日線>終値…2か月以上続いた場面(表⑥)。この状態になったら、深押しは明らかです。

60日線が下向きで、60日線>終値が2か月以上続いた場面

■20日線の持つ意味

 持続日数は、20日前後で流れが変わります(表⑦)。

2019年の持続日数20日前後で流れが変わった事例

  • 20日線が「上」向きで、終値>20日線、20日線が「下」向きで、終値<20日線が表示されています。
  • 20日線と60日線の関係性(2018~2020年)でGC状態、DC状態の持続期間は1~4か月(表⑧)です。

GC状態の持続期間(1か月線VS3か月線)

  • 20日線と60日線のDC…DC日の株価中心の動き(2018~2019年)(表⑨)になります。

2018年〜2019年の20日線と60日線のデッドクロス

  • 「底値圏」(60日線>20日線>5日線)では円高・株安で大底をつけ、底入れ後、円安もあり、株価は戻ります。60日線>20日線>5日線の状態(表⑩)。

60日線>20日線>5日線の状態(底値圏)

5日線と20日線のクロス

 5日線と20日線のクロスはミニGC、ミニDCと称されますが、数日で終わってしまう、いわゆるチャート上のダマシの確率が50%あります。短期で終わるかどうか、1か月程度継続するかの違いは期間中の早いタイミングで、±2%以上の乖離率を示現するかにかかっています。

  • 堅調相場は5日線>20日線が1か月続くこと。
  • 軟調相場は5日線<20日線が1か月続くこと(表⑪)。

堅調相場(5日線>20日線)と難聴相場(5日線<20日線)の事例

 ここでの注意点は±2%以上の乖離率を記録したときにはクロス状態が1か月程度続くことです。

20日平均に対する乖離率で見る転換点

 乖離率±2%以内は保ち合い相場です。

  • 保ち合い相場(2019~2020年)…20日平均に対する±2%以内(表⑫)。

2019年〜2020年の20日平均に対する乖離率±2%以内(持ち合い相場)

  • +2%以上の乖離率が途切れると上値追いの流れは止まります(表⑬)。

20日平均に対する乖離率の分布・持続期間、高値日

  • 1%以上のマイナス乖離率期間中に安値を形成(表⑭)。

20日平均に対するマイナス乖離率1%以上の継続期間

 移動平均株価同士の位置関係が意味するところ、終値との絡み方の意味をみてきましたが、価格指標だけでも相場の流れ、変化、転換点を見極めることは可能だとお分かりいただけたと思います。

 来月号以降では諸々の指標が示唆する意味をみていきたいと考えます。

 市場分析の基本は「加減乗除」だと考えています。分析の結果、得られた数値を複合化することによって、いろいろなことが分かります。次号以降でリポートしていきたいと思います。

※この記事は、FX攻略.com2020年4月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

荒野浩の写真

荒野浩(あらの・ひろし)

1971年日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社後、調査部でアナリスト業務に従事。米国勤務を挟み一貫して、日本株の情報・市場分析を行う。1996年に運用会社(現アセットマネジメントOne)に転籍、調査部長・運用部長を経て、常務取締役投信運用本部長を歴任。2012年に退職。その後はTV、ラジオ出演などで活動。日本株を中心とした市場分析の経験は半世紀に及ぶ。

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