トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
先週末のドル円は、年初来高値を窺う展開から一転、トランプ大統領が「ドル高は我々に不利益を与える」 とドル高をけん制したことで、111円台まで下落しました。今週に入っても米企業の好決算でNYダウが上昇しているにもかかわらずドル円の上値は抑えられています。マーケットはトランプ大統領次第の展開になっており、ツイッターなどヘッドラインを強く意識した取引が続いています。
アメリカの真意はどこにあるのか
一連のトランプ大統領の発言を聞いているとトランプ大統領の真意は今年11月の中間選挙に向けたドル安にあるのだと思います。今回の中間選挙では上院の共和党と民主党の議席差が2議席しかないため、接戦の可能性があります。中間選挙を勝ち抜くのに大票田の自動車産業にアピールするため、トランプ大統領は有権者にわかりやすいドル安に誘導したいはずです。もちろん、日米金融政策が真逆になるうえ、米ファンダメンタルズが一人勝ちしていることを考えるとトランプ大統領の思惑だけでドルが沈み続けることはないように思えます。しかし、年後半に向けて、ドルの上値が重くなることは想定しておくべきです。
また、あしもとでは月末に日銀金融政策決定会合を控えており、「金融緩和の副作用を議論」との報道から、投機筋は些細なことを口実にして、下値を攻めてくる可能性はありますので注意が必要です。チャートを見ても上昇トレンドのサポートライン(赤線)下限にあり、同ラインが破られると200日移動平均線(緑線)の差し掛かる110円が意識されそうです。
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英利上げ期待後退、ブレグジットも不透明。ポンドは弱気バイアスか
足元の英消費者物価指数が低調な結果となり8月英利上げが少し後退しています。また、先週メイ英首相が掲示したEU離脱案に関する世論調査の結果が出ましたが、賛成が10%に留まり大半が同案は英国にとって良くないとの回答になりました。来年の3月に迫るEU離脱が現段階で国民に受け入れられておらず、ここから交渉案をまとめるのは容易ではなさそうです。さらに世論調査ではEU離脱の国民投票を再度実施した場合、半数以上がEU残留を支持するとしており、混迷を極めています。ポンドは引き続き、下値は脆弱で弱気バイアスをもって臨むのがよさそうです。
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