移動平均線を理解する その2|単線分析について[マックス岩本]

テクニカル分析の王道として、プロはもちろんのこと初心者にも愛用されている移動平均線。しかしそんな世界的人気のテクニカルも、気軽に扱われるがゆえに真の意味を理解されていないという側面があります。テクニカルの基本だといわれる移動平均線の、その基本をおろそかにしている人も多いのではないでしょうか? ここではテクニカルアナリストのマックス岩本さんに、移動平均線の初歩的な「なぜ?」「なに?」を整理してもらいます。

※この記事は、FX攻略.com2016年10月号の記事を転載・再編集したものです

価格と移動平均線の位置から方向性の認識が可能

前号では移動平均線の概要と、移動平均線を表示するために必要なパラメーターの種類についてお話ししました。今号も引き続き移動平均線を取り上げ、もう少し踏み込んだ部分について解説していきたいと思います。

今回取り上げていくのは移動平均線の単線分析です。単線分析とは、その名の通り1本の移動平均線と価格の位置関係で分析していく方法になります。

移動平均線は、あらかじめ任意に定めたパラメーター数の終値で平均値を算出し、それを折れ線グラフで描画したものです。そのため価格が一定期間にわたって終値を切り上げたのであれば、価格が移動平均線の上に位置しながら水準を切り上げ、右肩上がりに推移します。

反対に、価格が一定期間にわたって終値を切り下げたのであれば、価格は移動平均線の下に位置しながら水準を切り下げ、右肩下がりに推移します。この描画によって、移動平均線がトレンドの方向性を示しているということが分かります【図1参照】。

そして、このように方向性を認識することができれば、今後価格は上がる可能性が高いのか、下がる可能性が高いのかという予測に役立ち、売買戦略を構築する上でも有用な情報となります。

代表的シグナルのゴールデン・デッドクロス

続いては、移動平均線の代表的な売買シグナルであるゴールデンクロスならびにデッドクロスを解説します。ゴールデンクロス・デッドクロスというと、2本の移動平均線のクロスをイメージする方が多いことと思いますが、グランビルの法則が広く知れ渡ったときには、図2のような価格と移動平均線のクロスが中心だったことから、これも歴としたゴールデンクロス・デッドクロスです。

では、これらの売買シグナルの具体的な特徴についてですが、ゴールデンクロスとは、価格が移動平均線を下から上向きにクロスすることで買いシグナルといわれます。その反対にデッドクロスとは、価格が移動平均線を上から下向きにクロスすることで、売りシグナルといわれています。

ちなみに、このような上抜けた・下抜けたという判断は、終値ベースで行うのがポイントになります。最もポピュラーな売買シグナルになりますので、この点は勉強熱心な読者のあなたも既にご存じのことと思います。

なぜ交差することが買い・売りの好機になり得るのか?

では、そんなあなたに質問です。なぜこのゴールデンクロスが買いシグナルでデッドクロスが売りシグナルなのでしょうか?

この質問をすると、答えられない方が案外多いのです。解答に先立って、まずご覧いただきたいのが図3です。こちらは日足チャートに期間5の単純移動平均線を描画したものです。価格が移動平均線の上に位置していますので、5日線の観点からは上昇トレンドであることが示唆されます。

さらに、これは過去5日間の買い方の平均購入価格を示すものでもあるため、この間に買った投資家が平均的に儲かっていることを意味しています。逆の言い方をすれば、この間に売った投資家は平均的に損失を抱えていることを意味しているわけです。

このことから分かる通り、ゴールデンクロスとは、それまで平均的にマイナスだった買い方がプラスに転じる分岐点であり、デッドクロスとは、それまで平均的にプラスだった買い方がマイナスに転じる分岐点を意味するのです。

そして、ゴールデンクロスは投資家が心理的に強気になる局面であるため買いシグナルとなり、デッドクロスは投資家が心理的に弱気になる局面であるため売りシグナルになるというわけです。

売買シグナルが成り立つ理由を知ることが重要

移動平均線が教えてくれることは“価格の方向性”だけのように写りがちではありますが、このようにエントリータイミングを捉える目的で活用できることも、魅力の一つです。

いかがでしたでしょうか。普段使いしやすい移動平均線ですが、だからこそその原点を見落としてしまいやすいということが、お分かりいただけたのではないでしょうか。

移動平均線にかかわらずどんなテクニカル指標であっても、その売買シグナルがなぜ、どういう理由で有用なのかまで理解することが大切です。なぜならば、非常にシンプルで便利な移動平均線にも他の指標と同様にダマシの局面が存在するからです。

臨機応変な売買判断を行い、なおかつダマシを低減するためにも、売買シグナルが発生する過程を理解した上で移動平均線を上手に活用し、利益の獲得につなげていきましょう。

次回は、今号にも登場したワード、“グランビルの法則”について詳しく解説して参りたいと思います。

※この記事は、FX攻略.com2016年10月号の記事を転載・再編集したものです

【移動平均線を理解する[マックス岩本]】
その1|パラメーターの種類について
その2|単線分析について

マックス岩本の写真

マックス岩本(まっくすいわもと)

「中卒認定テクニカルアナリスト」という異名の通り、アナリスト業界ではまれに見るノー学歴。学歴社会が色濃く残る昨今でも、そんなことがいっさい関係しないFX市場を相手に日々奮闘中。「誰もが気軽にFXを始められる今だからこそ、しっかり勝ち続けられる技術を身につけて欲しい」という気持ちで、連載やセミナー講師を務めています。

公式サイト:マックス岩本公式サイト

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