FXにおいて時間的な要素を重要視しているという川崎ドルえもんさん。本企画はそんなドルえもんさんに統計的なアプローチから具体的なトレード戦略を教えていただきます。
3月の月足の時間的傾向は?
こんにちは、川崎ドルえもんです。私は為替の時間的傾向を参考にしてトレードを行っています。今回は3月の傾向を解説していきます。
まずは表①を見てください。これはクロス円の3月の月足の数を2000年から集計したものになります。3月はユーロ円とポンド円の陽線の数が13回と多くなっていることが分かると思います。これを見る限り、「3月はユーロとポンドが買われやすい傾向があるのかも」と推測できます。
そこで、本当にユーロとポンドが買われやすいのかを確認するためにドルストレートの月足を数えたもの(表②)を見てみましょう。確認してみると、ユーロドルとポンドドルに目立った傾向は出ていません。このことから、必ずしもユーロとポンドが買われているわけではないという分析ができます。これは、ユーロとポンドが少し買われる傾向がありつつ、さらに日本円がわずかに売られる傾向もあるからでしょう。
週足の統計
もう少し詳しく見てみましょう。表③は、過去のユーロ円週足とポンド円週足の陰線と陽線の数を数えて、これからの週に当てはめて確率を出したものになります。見てみると、ユーロ円の3月は2日からの1週目と30日からの5週目の陽線確率が高くなっていることが分かると思います。なので、ユーロ円は3月の月初めと月終わりは上昇しやすい傾向があると判断できます。
次にポンド円を見てみると、1週目・3週目・5週目の陽線確率が少し高くなっていることが分かります。このことから、3月のポンド円はジワジワと上昇していく傾向があるといえます。
前号でもお話ししましたが、2月と3月はあまり時間的傾向が見られない月になります。なので、戦略的にはレンジ相場狙いに特化した手法がハマりやすいです。
表④は、3月の豪ドル円とNZドル円の週足統計になります。見てみると、豪ドル円の5週目に強い陽線確率が出ていますが、その他の週は目立った傾向がありません。このことから、3月はレンジになりやすい相場だと分かると思います。
このような相場ではトラリピやグルトレなどのリピート系手法が有効です。リピート系手法とは、上下するレンジ相場の中で、指定した新規注文と決済注文を繰り返して細かい上下動を利益にしていく手法です。最近は自動でリピート系注文を行ってくれるFX会社も増えてきました。注文が面倒だと思う方は、そのようなサービスを活用してみるのもありだと思います。
ドル円日足の統計
最後にドル円日足の傾向も見てみましょう。表⑤は、3月のドル円の日足統計です。表示されている確率は左から順に、2000~2009年の陽線確率、2010~2019年の陽線確率、過去20年間の単純平均の陽線確率、直近10年に重点を置いた過去20年間分の加重平均の陽線確率となっています。
この表の見方は、まず、一番右側の加重平均の陽線確率をチェックします。確率が高いとその日の過去20年間は陽線が出やすかった、確率が低いと陰線が出やすかったということになります。表を見ると、9日と24日は陽線確率が特に高くなっています。このことから、9日と24日は過去20年間で陽線が出やすかったことが分かります。
また、16日は陽線確率が14%となっています。陽線確率が14%ということは、陰線になる確率が86%ということになります。先ほど述べたように、日足単位で見ても3月は他の月と比べて時間的傾向が見られない月となっています。
その他の通貨ペアの日足統計については、「川崎ドルえもんのFXブログ」に出していますのでご覧ください。私はこの統計を参考に、その日に扱う通貨ペアを決めています。
時間統計論の注意点
ここに掲載しているデータは、あくまで過去の値動きから統計を取って一覧にしたものであり、将来の値動きを保証するものではありません。また、ローソク足の陽線・陰線は始値から終値の実体ベースで決まるので、この統計にはヒゲが含まれていません。したがって、このデータを参考にトレードする際は、ローソク足の始値でポジションを持つのではなく、少し時間を置いてエントリーするなど工夫をすると良いでしょう。もちろん、損切りをきちんと設定してトレードすることをお勧めします。
※この記事は、FX攻略.com2020年4月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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