FXにおいて時間的な要素を重要視しているという川崎ドルえもんさん。本企画はそんなドルえもんさんに統計的なアプローチから具体的なトレード戦略を教えていただきます。
9月はポンドに注目!
こんにちは、川崎ドルえもんです。今回は9月の為替傾向を紹介していきましょう。
表①は、各通貨ペアの月足を2000年から数えたデータになります。見てみると、ユーロ円の陽線回数が13回、ポンド円が14回、ポンド豪ドルが14回とわずかに多く、このうち二つはポンドに関する通貨ペアになっています。このことから、9月はわずかにポンドが買われる傾向があるといえそうです。しかし、ポンドドルやポンドNZドルではそのような傾向が出ておらず、あまり強い傾向とはいえません。そこで、より細かい週足の統計データも見ていきます。
表②は、ポンドに関する通貨ペアの週足データを今年の週に当てはめたものです。見てみると、9月7日からの週はポンド円の陽線確率が60%、ポンドドルが63%、ユーロポンドが33%、ポンドスイスフランが67%と、ほとんどの通貨ペアでポンド買いに動く傾向が強くなっています。
そして28日からの週を確認すると、ポンド円の陽線確率が30%、ポンドドルが30%、ユーロポンドが77%、ポンド豪ドルが33%、ポンドスイスフランが37%となっており、7日からの週とは反対に全てがポンド売りの方向に動く傾向が強いです。
このことから、9月のポンド関連の通貨ペアは月初めにポンド買いが起こりやすく、月末にかけてポンドが売られる傾向があることが分かります。この傾向を使ってトレードするならば、月初めから中旬にかけてはテクニカル指標を見ながらポンドを買いでトレードしていき、下旬はポンド売りでトレードしていくのが良さそうです。
9月中旬のクロス円は円安傾向にある
それでは次に、クロス円の日足統計データを見ていきましょう。表③は2000年からの日足を集計し、陽線になった確率を加重平均(直近10年間に比重を置いたもの)で算出したものになります。
まず、ドル円で偏った傾向が出ている日は9月4日と10日で、4日の陽線確率は82%、10日は90%と高くなっています。90%という確率は過去20年間で2回しか陰線がついていない確率になり、かなり強い傾向といえます。このことから、10日はテクニカルなどでタイミングを見計らいながらドル円をロングするトレードを構築してみるのが良いでしょう。
続いてユーロ円で傾向が強い日を探してみましょう。ユーロ円で傾向が出ている日は17日で86%となっています。この確率は加重平均で算出しているので、いつ陽線が出たかで多少確率が変わってくるのですが、詳細データを見ると過去に陰線がついたのは2回だけでした。このことから、17日はユーロ円ロングのトレードを構築することで勝率を上げられる可能性が出てきます。
そして、ポンド円の傾向が強く出ている日は8日で81%、10日で90%、17日で81%となっています。10日の詳細データを見ると、過去に陰線がついたのは1回だけと、かなりの高確率です。また、8日と17日の詳細データも確認してみると、直近10年間は全て陽線となっています。このことから、8日、10日、17日は状況を見ながらポンド円をロング目線でトレードするのが良いと思われます。
さらに、スイスフラン円の傾向も探っていきましょう。見てみると、7日の陽線確率が19%と低くなっています。陽線確率が低いということは陰線になりやすいということです。陰線確率に変換すると、81%の確率で陰線になったということになります。こういった日は、スイスフラン円をショートするトレード戦略を考えていくのが良いでしょう。
最後に各通貨ペアを日付ごとに横一列で順番に見ていきましょう。すると、10日の陽線確率が全体的に高いことが分かります。これは、クロス円が円安方向に動く傾向があることを意味しています。
また、8日から17日にかけて全体的に陽線確率が高くなっていることも分かります。この傾向をトレードに生かすのであれば、単日でトレードするだけではなく、8日からいくつかのクロス円をロングして17日に決済するトレードを実践してみるのも良さそうです。
数日にわたってポジションを保有することで、単日では傾向通りにいかなくても、それ以降で傾向通りに動けば利益になります。したがって、単日の傾向だけでなく全体の傾向も考慮しながらトレードすることが大切です。
時間統計論の詳細データやドルストレートなどの通貨ペアのデータは、私のブログやYouTubeチャンネルで更新していますので、ぜひトレードの参考にしてみてください。
※この記事は、FX攻略.com2020年10月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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