皆さま、こんにちは! 今回のテーマはMT4を利用したシストレ運用です。なぜMT4を導入するのかということを含め、コスト面から、さらには環境構築方法などについて詳しく解説していきます。来月号と合わせ、永久保存版の内容となっていますので、ぜひ参考にしてください!
※この記事は、FX攻略.com2017年7月号の記事を転載・再編集したものです
【システムトレードで資産運用!season2】
第1回 選択型シストレ・ストラテジーの選び方[ゆきママ]
第2回 MT4を利用したシストレ運用[ゆきママ]
第3回 選択型シストレの運用テクニックと考え方[ゆきママ]
第4回 含み損が膨らんでしまったときの対処法[ゆきママ]
第5回 ループ系シストレにおける通貨ペアの選び方[ゆきママ]
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MT4を使う理由、メリットとは?
読者の皆さまは、メタクオーツ社の開発したMT4(メタトレーダー4)と呼ばれるFXの取引ツールをご存知でしょうか? MT4ではEA(Expert Adviser)と呼ばれる自動売買プログラムを利用することが可能で、本格的にシストレ(自動売買)をやるのであれば、ぜひ導入したいツールとなっています。
売買プログラムを稼動するだけで自動でトレードをしてくれるシストレは、プログラムを選ぶだけという理由で「選択型シストレ」と呼ばれていますが、最近はこの選択型シストレを提供する会社が急速に増えており、FX初心者の方でも簡単に導入することが可能となっています。
一方、MT4は日本国内にFXが登場した初期のころからEAが使えて自動売買ができるツールでしたが、分かりにくさや環境構築に手間がかかるということもあって、いまだに敬遠されているといった現状があります。
それならば、なぜあえて使いにくいMT4を導入するのかといった疑問をお持ちになる方も多いと思いますが、結局のところ、それは“コストが低くなるから”ということに尽きます。数百万円の資金で本格的にシストレ運用を試みるのであれば、避けて通れないといっても過言ではないでしょう。
以下にミラートレーダーに代表されるような、FX各社が独自に提供する選択型シストレサービスとMT4のメリット・デメリットをそれぞれまとめてみました。
FX会社の提供する選択型シストレ | |
メリット | ・使いやすく設計されており、FX初心者でも利用可能 |
デメリット | ・取引量が多いとかなりのコストがかかる |
MT4 | |
メリット | ・取引量が多ければトータルコストで安く済む |
デメリット | ・使い方が分かりにくく導入のハードルがやや高い |
取引量が多ければ多いほど、MT4を利用するメリットは大きくなります。少額資金で運用し、取引量が少ないとメリットを享受するのは難しいため、100万円未満の資金で運用をするのであれば、各社の提供するサービスを利用した方が良いでしょう。
もちろん運用する期間なども関係します。3年、4年と続けて運用しようと考えるのであれば、100万円未満の資金でもMT4を利用した方がコスト的に安上がりで済む場合もありますので、次に挙げるコスト比較を見て検討していただければと思います。
実は見えにくいスプレッドの差
それでは、運用コストについて比較していきましょう。いろいろなコストがかかりますが、最も差がつくのは、何と意外にもスプレッドということになります。
スプレッドとは、ご存知のように売値と買値の価格差で、裁量トレードではレートの提示されたパネルを日々見ることになりますから、嫌でも意識せざるを得ません。しかしながら、シストレではプログラムが自動でトレードするため、気にする機会がほとんどなく、かなり見えにくくなっています。
一般に使われている売買プログラムは、1年間に少ないもので60回、多いもので700回程度のトレードを行います(※新規→決済の往復取引で1回とカウント)。平均的には、大体200回前後とされています。
※1取引1万通貨でポンド円の売買プログラムが年間700回トレードした場合
例えば、ドル円のスプレッドが1銭の会社で年間200回(1取引1万通貨)トレードするドル円の売買プログラムを稼働したとすると、実質的な年間コストは100(円)×200(回)=2万円となります。
スプレッドは各社それぞれ異なりますが、MT4ではおおむねドル円が1銭、ユーロ円が2銭、ポンド円が3~4銭です。他方で、FX会社の提供している選択型シストレ(ミラートレーダーなど)では、ドル円が4銭、ユーロ円が5銭、ポンド円に至っては9銭以上と、かなりスプレッドが広めです。
要はいろいろな売買プログラムを無料で自由に使える分、そのコストが事実上スプレッドに上乗せされているといっても差し支えないでしょう。
仮に、1回の取引単位が1万通貨でドル円の売買プログラムが200回取引すると、MT4ならスプレッドのコストは2万円で済みますが、選択型シストレサービスでは8万円もかかることになり、差し引きで6万円差です。ポンド円といったスプレッドの大きい通貨の場合や取引回数が増えた場合は、さらに差は広がることになります。
いうまでもなく、スプレッドに関するコストについてはMT4が圧倒的に優位でしょう。ただし、MT4の場合は平均で2~5万円、高いもので10万円以上するEA(売買プログラム)を自前で購入する必要があります。個人ならせいぜい使うのは数種類でしょうが、コストがそれなりにかかりますし、選択肢も限定的になってしまうという弱点があります。
また、24時間稼働できる専用パソコンを用意するか、のちに解説するVPS(仮想専用サーバー)をレンタルする必要がありますので一概に総コストが安いとはいえませんが、それなりの資金で2万通貨、3万通貨といった運用をする方や、長期間シストレをやっていくという目処がある方は、ぜひ自身の使っているシストレサービスのスプレッドを確かめた上で、MT4の導入を検討していただければと思います。
ゆきママのワンポイントアドバイス
今回はMT4におけるシストレの紹介ということでMT4の優位性をお伝えしていますが、初心者の方はミラートレーダーなど、各社が用意している選択型のシストレサービスを試してみると良いでしょう。
何といってもMT4は初期コストの高さがネックとなりますが、各社の提供するサービスであれば基本的に初期費用はかかりません。運用におけるポイントやコツを十分つかんでから、MT4に移行することを考えた方が無難ですよね。
ちなみに、優秀な売買プログラムのほとんどは有料で一般販売されていて中身は同じですから、EAの購入費とスプレッドコストを比較して、導入の是非を判断していただければと思います。
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シストレは売買プログラムが24時間いつでも自動でトレードしてくれるわけですが、そのためには、どんなときでも売買プログラムが稼働することのできる環境を構築しなければなりません。
方法は大きく分けて二つあります。まず、一つは非常にシンプルで、24時間稼働できる専用のパソコンを用意することです。WindowsパソコンにMT4をインストールし、EAを稼働させるだけなので非常に手軽にできます。初期のころは、ほとんどの人が専用のノートパソコンを用意して運用を行っていました。
ただ、ここ最近はほとんどの人がもう一つの方法、VPS(Virtual Private Server)という専用サーバーを利用してMT4とEAを稼働させるようになりました。その理由としては、専用パソコンを用意するよりも安定した環境が作りやすいからです。
やはり専用パソコンとはいっても、家族が触ってしまったりすることは十分考えられますし、ブレーカーが落ちたり、停電や故障といったパソコン自体が使えなくなったりするというリスクもあります。今は安定した通信環境はクリアしやすくなっていますが、インターネット回線が断線するなど、何らかの事故でネットに繋がらなくなるといったこともありえますからね。
こういったリスクを考慮して、電源、回線リスクにしっかり備えたサーバーをレンタルするというのが今は主流となっています。ただし、契約プランによっても異なりますが、1か月あたり2~3千円程度の利用料が必要となります。
少し高い感じもしますが、専用パソコンの購入費や電気代などが必要なくなりますし、安心ですからね。なるべくならVPSで稼働させた方が良いのかなと思います。
Macでも使える?実際にやってみた!
また、VPSならMacでもMT4のシストレ運用ができることも大きな魅力となっています。わざわざWindowsOSを購入したり、パソコンを新調したりしなくても大丈夫なんです!
VPSは「使えるねっとFX専用VPS」や「お名前.comデスクトップクラウドforFX」など、FXに特化したサービスを使うと楽でしょう。早速プランを選び、名前や住所を入力してクレジットカードで支払いを済ませたところ、リアルタイムですぐに使えるようになりました。
Windowsを使っている方は、デフォルトでアクセサリにインストールされているリモートデスクトップ接続を利用することで、簡単にVPSに接続できます。
ゆきママのようにMacBook Proを利用している方は、App Storeで配布されている「Microsoft Remote Desktop(画像①)」を利用することで、VPSに接続してMac上で操作を行うことが可能です。
Microsoft Remote Desktopをダウンロード
このソフトを起動すると、画像②のような設定画面が出てきますので、VPSに設定されたIPアドレス、ユーザー名、パスワードなどを入力しましょう。
IPアドレスやユーザー名などはVPSから与えられたものを使用
晴れてMac上でVPSにインストールされたWindowsが使えるようになりました。あとはMT4をインストールしてEAを稼働するだけ…と思っていたら、公式サイトからMT4がダウンロードできません! 正確には、公式サイト(MT4ダウンロード画面)から何度やっても、なぜかMT5がインストールされてしまいました…。
調べたところ、現在メタクオーツ社の公式サイトではMT4を配布していないようです。ただ、ご安心ください。MT4のサービスを提供しているFX各社のサイトからダウンロードできます。FX各社でそれぞれ若干仕様が異なる可能性がありますので、ぜひ自分の利用するFX会社からダウンロードしてインストールするようにしましょう。
Macでも無事にMT4をインストールすることができました
どうやら、メタクオーツ社は新しいバージョンであるMT5を推奨したいようですが、MT4があまりにも素晴らしすぎるツールだったため、まだまだ利用者が多いんですよね。EAもMT4の方が充実していることもあってか、現在は日本ではMT4がよく使われています。
まとめ
いかがだったでしょうか。最近のトレンドとして金融取引全体がプログラムによってどんどん自動化されているということもあって、今回はMT4を利用したシストレ運用のメリットを中心に紹介させていただきました。
今後、自動化の流れがさらに加速するのは確実ですので、ツールのみならずVPSなども使いこなせるようになっておくと良いでしょう。将来のためにも、ぜひ今月号は保存しておいていただければ幸いです。それでは、次回もお楽しみに!
※この記事は、FX攻略.com2017年7月号の記事を転載・再編集したものです
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「これからFXを始めよう」と思ったとき、意外と悩んでしまうのがFX会社、取引口座選びではないでしょうか? でも大丈夫。ご安心ください。先輩トレーダー達も最初は初心者。みんなが同じ悩みを通ってきているんです。
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\FX会社によって違うところをチェック/
スプレッド | FX取引における取引コスト。狭いほうが望ましい。 |
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約定力 | 狙った価格で注文が通りやすいかどうか。 |
スワップポイント | 高水準かどうか。高金利通貨の取り扱いの数。 |
取引単位 | 少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。 |
取引ツール | 提供されるPC・スマホ取引ツールの使いやすさ。MT4ができるかどうか。オリジナルの分析ツールの有無。 |
シストレ・自動売買 | 裁量取引とは別に自動売買のサービスがあるかどうか。 |
サポート体制 | サポート内容や対応可能時間の違いをチェック。 |
教育コンテンツ | 配信されるマーケット情報や投資家向けコンテンツの有無。 |
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