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相場で生き残るためのテクニカル特化型戦略|第2回 [田向宏行]

この連載では専業トレーダーの田向宏行さんに、テクニカル分析に特化したトレードテクニックを数回にわたってレクチャーしてもらいます。今回のテーマは、テクニカルのベースとなる値動きです。値動きを分かりやすく視覚化したローソク足チャートの本質を、ここで徹底的に理解しましょう。

※この記事は、FX攻略.com2018年6月号の記事を転載・再編集したものです

相場が動く理由は何か

前号ではファンダメンタルズは使わない、使えない、というお話をしました。ファンダメンタルズ分析は、

① 経済の大きな潮流の変化と個人投資家がトレードする時間軸が一致しないこと

② 経済の教科書的な考え方と現実の値動きが一致するとは限らないこと

③ 取引タイミングが示されないこと

などから個人投資家がトレードの判断材料として使うのは現実的でないことをご説明しました。

本稿を執筆している2018年3月中旬、ドル円は2月27日高値の107.67円と、3月2日安値105.25円の間でレンジ相場となり、膠着しています。この膠着相場の期間中には、北朝鮮とトランプ大統領の会談が決まったり(リスクオン)、コーン米国家経済会議議長が辞任したり(リスクオフ)、ティラーソン米国務長官が解任されたり(リスクオフ)、さまざまなニュースが出ています。ファンダメンタルズからは動いても良さそうな気がしますが、相場は動きません。これはなぜでしょうか。

株でも、為替(FX)でも、仮想通貨でも、相場を動かしているのは、売りと買いの関係です。売りが多ければ値段は下がり、買いが多ければ上がる、単純かつ明快で、これ以上の真実はありません。相場がレンジになっているということは、レンジの上限付近には売り手が多いからそれ以上は上がらないわけですし、レンジの下限に近づくと買い手が多くいるので下がりません。売り手と買い手、それぞれの戦略や思惑があり、一定の幅で売り手と買い手が力比べしているから、相場は結果としてレンジになります。

逆に相場がレンジを上抜けて上昇する場合は、レンジの上限付近にあった売り以上に買いが増えたか、売りが減ったか、またはその両方が同時に起こったか、ということになります。当然ですが、下抜けなら逆です。

ニュースやファンダメンタルズがどのようになろうと、相場の動きは市場参加者の売り手と買い手のどちらが多数か、ということで決まります。だからチャートで売り手と買い手のどちらが多くなっているのかを探すことが、FX取引では必要なのです。

チャートって何?

売り手と買い手の力関係の結果、つまり世界中の為替取引の結果が示されているのがチャートです。ローソク足は、値動きの結果が時間軸で区切られて表示されています。また始値・高値・安値・終値の四つの情報(4本値)が盛り込まれており、その時間軸の中で相場がどのように動いたかを示しています。

このことを理解していると、ローソク足1本を見るだけでも、相場が上げているのか、下げているのか、方向が定まらないのかなど、いろいろな情報を読み取ることができます。4本値の位置から、急騰したけど急落した(上ヒゲ)とか、上下に大きく動いたけど結局方向が定まらなかった(十字線)とか、さまざまな市場参加者の動き、売り手と買い手の攻防を知ることができます。

チャートにはファンダメンタルズや需給、ニュースや事件事故など、森羅万象が含まれているといわれるのもこのためです。経済指標や事件など世界中のあらゆる出来事に対する市場参加者の相場判断とアクションの結果が、チャートとして示されています。ローソク足1本でも、その中身を見ようとすると、いろいろなことを読み取ることができ、これがテクニカル分析の基礎となります。

チャートというと、移動平均線や一目均衡表など何らかのテクニカル指標が表示されたものをイメージしやすいと思いますが、最も重要なのはこれまでお話ししてきたように「値動き」です。特に日足の値動きは世界中のトレーダーが必ず注目しています。

私がチャートにさまざまなテクニカル指標を表示させて自分流を探していたころ、すごくもうけている個人投資家の方にお話を聞くと、「値動きを見ている」「プライスアクションを重視している」という人が多くいました。当時は「値動きで何が分かるのだろう」と思っていましたが、今はその意味がよく分かります。当時の私のように、視覚的に「何となく分かる」「イメージできる」というのは、FXビギナーにとって安心できるサインです。これは悪いことではありません。

私が移動平均線を7本表示した虹色チャート(チャート①)を考案したのは、相場の大きな流れを見つけて方向を間違えないようにするためでした。虹色チャートは今でも有効ですが、これだけ明確にトレンドが示されても、テクニカル指標は過去の値動きから計算しているので、取引タイミングで迷うこともありますし、損失になることも起こります。そうした失敗を繰り返す中で分かってきたのは、損失を減らし、良いタイミングで取引するには計算の基になっている値動きの仕組みを知っておく、ということでした。

ローソク足が示すもの

ローソク足が示すのは図①のように4本値で、始値と終値の位置関係で陽線か陰線かが決まります。ちなみに日本では陽線が赤、陰線が青で示されることが多いですが、海外は逆に陽線が青、陰線が赤で表示されることが多く、私もその設定で使っています。

ローソク足は、その時間軸(例えば15分の区切りなら15分足、1日で時間を区切ると日足)の中で、どのような値動きをしたかを四つの節目となる値段で表現しています。チャートに陽線が何本も続けば相場は上昇、陰線が続けば下落とすぐに分かります。しかし現実のチャートはそんなに単純ではありません。

チャート②は2018年2月のドル円日足ですが、ずっと陰線や陽線が続くという形にはなかなかなりません。2月2日は陽線で高値110.48円をつけますが翌日(週明けの5日)は下げて陰線となり、2月16日安値まで約5円下落します。この間も5円下落する流れの中で陽線も現れるので、売りポジションを持っている人は不安に思う場面もあったことでしょう。

このようなときに、移動平均線や一目均衡表などのテクニカル指標を表示させると、それらが心の支えになってくれます。チャート②では21SMAを表示させているのですが、ローソク足が陰線にしても陽線にしても21SMAの下側で動いているので、下げる動きが続いていると推測できます。しかし、2月16日から21日の動きはどうでしょうか。21SMAの下側で下げると思いつつも、陽線が何本も続くと売り手なら不安になることもあります。特に底となる2月16日前後で売った人はより不安に思うのではないでしょうか。

こうしたときに4本値を意識していると、2月16日のローソク足が決まった(つまり終値が確定した)時点で下落から上昇に反転する可能性を読み取ることができます。2月16日の日足は長い下ヒゲの陽線となっています。この日の売り手と買い手の動きを4本値から想像すると、当初は2月2日からの流れの通り、売り手が優勢でした。しかし、安値となった105.55円付近で買いが急激に強まり、一気に押し戻されたことが分かります。または、売り手が急速に売りを止めて利確の反対売買をしたのかもしれません。いずれにせよ105円ミドル付近では、誰がどんな理由かは分からないけれど一気に買い戻された、または売り手が一気に売りを止めて利確の反対売買(つまり買い)をした、ということが推測できます。

移動平均線ではまだ下げる動きを示しつつも、前日までの売り手優勢で下げてきた動きとは違うことがここで起こったわけです。移動平均線ではまだ下げる可能性を示しているものの、直近の現実の値動きは買い優勢となり、これまでの売り優勢から相場の中身が転換する可能性が見えてきます。これが大事なのです。

こうした動きは、2月2日に下落が始まるところでも見ることができます。2月2日は陽線ですが、その次は陰線です。この2本の動きを2月2日の始値と翌5日の終値で比較すると、2月2日の始値から強く上昇して110.48円の高値をつけますが、その後は少し下げます。そして週明け5日は始値から下げており、終値は前日2日の始値より低くなっています。つまり、最初は買い手優勢で上昇したものの、110.48円で高値をつけたところで売り手優勢となり、その後は下落が続き、5日の終値は2日の始値より低くなったということ。このローソク足2本を1本にまとめて考えると長い上ひげの陰線となり、ローソク足の形からも売り手優勢であることが想像されます。

本やインターネットで上ヒゲや下ヒゲの出現が相場転換の可能性を示すという説明を読むと、ローソク足の形やパターンで覚えようとしがちです。私も最初はそうやってパターンで覚えました。しかし重要なのは「相場の値動きを見る」ことであり、「この形はこう動く」ではなく「売り手と買い手の力関係がどうなっているか」という点に注目すべきです。そうすることで「上ヒゲや下ヒゲ出現なら反転」ではなく、「その前の状況から値動きを考えて反転するのか、動きが続きそうなのか」を考えられるようになります。そして、値動きから考える視点がテクニカル指標を使う上でとても重要になってきます。

※この記事は、FX攻略.com2018年6月号の記事を転載・再編集したものです

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