FXトレード作戦室｜第5回 FXの聖杯探しについて［FX攻略.com編集部］

この国で唯一の月刊FX情報誌を刊行している立場から、多くのトレーダーが犯しやすいミス、陥りがちな勘違いを抽出し、皆さんと共有していくのが当企画の目的です。今回は「FXの聖杯探し」について考えていきたいと思います。

※この記事は、FX攻略.com2017年10月号の記事を転載・再編集したものです

【FXトレード作戦室［FX攻略.com編集部］】
・第1回リーグ戦とトーナメント戦
・第2回スキャルピングを始める前に
・第3回 FX上達のステップアップ
・第4回各種注文方式を有効に活用しよう

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Contents

FXの聖杯とは、確実に勝てるが決して到達できないもの
一つだけの手法はいずれ息切れする
初心者がすぐできる手法で勝てるか？
聖杯を追い求めることの最大の問題点
FXにおける「聖杯」がなぜ存在しないのかを考えてみる

FXの聖杯とは、確実に勝てるが決して到達できないもの

FXの世界で出てくる「聖杯」という単語は、たいていネガティブな要素を含んでいます。いわく、「聖杯などない」と。今月はこの聖杯をテーマに進めていきます。

聖杯は本来の意味では、キリスト教の儀式に使う容器のこと。イエス・キリストが処刑される前夜に、弟子たちと夕食を共にした最後の晩餐で使われたという説もあります。また、聖杯を追い求める西洋の物語を、総じて聖杯伝説と呼んだりします。

つまり聖杯には、「唯一無二の貴重なもの」という意味の他に、「探し求めても見つからないもの」というニュアンスが含まれています。

これがFXでの聖杯となると、「確実に利益を出せる必勝法」という意味合いとなり、もともとの聖杯と同じく、「探してもたどりつけない」というニュアンスが多分に含まれます。

一つだけの手法はいずれ息切れする

それではなぜ聖杯が存在しないのか。これには、意外にも自動売買が良い例になります。

インヴァスト証券が提供しているシストレ24という自動売買のシステムでは、数千種類のストラテジー（売買戦略）が提供されています。どのストラテジーも、何らかのテクニカル分析を組み合わせて売買をルール化したものなのですが、例外なく賞味期限のようなものがあることが分かります。ある時期には利益を出していたものが、時間の経過と共に結果が出なくなるというパターンが、あらゆるストラテジーで繰り返されています。

これが意味するのは、単一の売買手法がずっと機能し続けることはなく、相場が変われば勝てる売買戦略も変化するということです。インヴァスト証券自体がこの事実をはっきり打ち出しており、その結果としてストラテジー自体を相場に合わせて自動選択する、フルオートという機能を昨年リリースしています。

そもそも、アドリブ要素一切なし、完全にルール化できるトレード手法で長期間勝ち続けられるなら、相場においてトレードをするのは、自動売買だけになるでしょう。でも実際にはそんなことはなく、多かれ少なかれ、投資には人間の判断が求められます。

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初心者がすぐできる手法で勝てるか？

それにもかかわらず、FXにおける聖杯を求める人はたくさんいらっしゃるように見えます。

一つ考えてみましょう。もしあなたが確実にお金を儲けられるFX手法を持っていた場合、簡単に人に教えるでしょうか。教えない人の方がきっと多いと思います。

とはいえ、この質問は非常に使い古されたもので、どこかで見たことがある人も多いでしょう。それに、家族や恋人、親友になら教えるという人もいるでしょう。

そこで、二つ目の質問です。イメージしてください。確実に勝てる投資手法があるとして、それが誰にでも使える簡単なものでしょうか？

実際のところ、FXで利益を出しているプロは少なからずいます。その人たちは、必勝とまではいかなくても、ある程度の優位性があるやり方を確立しているはずです。だからこそ、FXで勝てています。

そういった有効な手法は、まず間違いなく初心者がその場ですぐ実行できるほど、簡単なものではないはずです。為替相場への理解、資金とリスクの管理能力、トレードツールを滞りなく使いこなせる技術、安定したメンタルなど、一通りのスキルが身についていて、初めて実践できるのではないでしょうか。

つまり、聖杯的なトレード手法があるとしても、誰もが即使いこなせないはずなのです。

聖杯を追い求めることの最大の問題点

聖杯を追い求めることの最大の問題点は、せっかく優位性のある分析や手法に巡り会っても、深く追求することなく、それは聖杯ではなかったと諦めて、すぐ次のやり方に浮気してしまうことです。

人間には個性があり、同じ人が存在しないことと同様に、トレーダーにも個性があります。ライフスタイルも、資金も、FXをする目的も投資家それぞれですから、既存の手法に対して、自分になじませるためのアレンジは必要不可欠です。

とてつもなくベタな結論になりますが、何度も検証、実践し、自分なりの解釈を加え、なおかつ結果が出ている手法こそ、その人だけの聖杯ではないでしょうか。

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FXにおける「聖杯」がなぜ存在しないのかを考えてみる

最後にFXにおいて聖杯が存在しない理由をまとめておきます。そもそも、生活スタイル、資金、目標利益、性格、体力など人それぞれなのだから、出会った手法に対して自分なりのアレンジは必要なのです。

聖杯など存在しない理由

●相場は常に変化しているため、同じやり方は永続的に通用しない

トレンドやボラティリティが常に変化しているため、同じやり方が通用し続けることはありません。相場に合わせた調整や方針転換が求められるはずです。

●裁量要素皆無、100％手法化できる必勝法があるなら、自動売買だけの世界になる

完全にルール化できる手法でずっと勝ち続けられるなら、未来の戦争をテーマにした映画のように、相場では自動売買だけが戦い続けるようになります。

仮に聖杯が存在しても、ほとんどの投資家に無関係な理由

●確実に勝てる手法がもし存在するなら、他人に簡単に教えるはずがない

これは昔からよくいわれることです。確実にお金を増やせる手段があるなら、自分以外の人間に簡単に使用を許可することはありません。

●確実に勝てる手法があるとしても、誰でも使いこなせるほど簡単なはずがない

確実に勝てる秘密の手法があるとしても、その手法が誰でも簡単にマスターできて、今すぐ実践できる簡易なものであると考える方が不自然ではないでしょうか。

※この記事は、FX攻略.com2017年10月号の記事を転載・再編集したものです

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