2020年はパンデミックにはじまり、総理大臣の辞任、米国大統領選挙、英国の欧州連合(EU)離脱問題など、近年まれに見る波乱となりました。こんな状況下で利益を出すには「いったいどうすればよかったの?」と頭を抱えていたトレーダーも多かったと思います。そこで今回、こんな状況下ではありますが、ムリをいって本誌でおなじみの実力派トレーダー4人に集まってもらい「2020年をどのようにして戦ったのか?」を語ってもらいました。けっして、少人数でもいいから忘年会っぽいことをしたかっただけ、とは思わないように!
※この記事は、FX攻略.com2021年2月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
参加していただいたトレーダー
あいびょうかとれーだー・こうすけ。リアルマネートレードコンテンストで輝かしい実績を残している現役トレーダー。最近ではオンラインサロンを開設し、トレード手法を多くのユーザーに公開している。世界トレードコンテスト「ロビンスカップ」2019 第2位獲得/同「ロビンスカップ日本大会」2017-2018 第3位獲得/日本認定テクニカルアナリスト
いいだっちせんせい。元進学塾の講師。温泉が大好きで温泉ソムリエの資格を持つプロのFXトレーダー。「終値トレード法」という手法を用いて多くの優秀なトレーダーを育成し、そのオンラインによる勉強会ではお年寄りから若者まで全国から多くの参加者が学んでいます。「終値」を重視したチャート分析手法が、24時間相場に集中しなくて済むトレード法として兼業トレーダーたちに好評を得ています。
すきゃとれふうた。株のデイトレブームに乗り専業トレーダーになるも、サブプライムローン問題で大敗して引退。その後にFXを知り、兼業で2年、3年目で専業に。友人に教えるのをきっかけにインジケーターや教材を製作し始める。
かわさき・どるえもん。裁量トレードに限界を感じたことから、できるだけ精神的負担なく、楽して儲けられるシステムトレードの手法を模索。さまざまなシミュレーションを経て、グルグルトレインを完成。
2020年の結果報告
編集部 2020年は大変な一年でした。皆さんは今年のトレードはどうでしたか?
愛猫家トレーダー コウスケ(以下コウスケ) FXは全然でしたね。2月3月はどの通貨ペアもボラティリティが全くなかったです。5月6月も恐怖指数が常に30〜40くらいあったりと自分の得意な相場ではありませんでした。
編集部 3月でチャートが完全に崩れていましたもんね。
コウスケ スキャルピングでトレードしている方なら取れているかもしれませんが、中長期のトレーダーからすると難しかったと思います。
いいだっち先生(以下いいだっち) 成績は悪くはありませんでしたが、アジャストする必要性はありました。例えば、今までは一撃で100pips前後取れていたところを、1日の平均値幅の60%くらいを目安にするなど、利食い幅を狭めたりしました。
編集部 その辺りは、経験値がないと厳しかったということでしょうか。やはり相場の変動には敏感でなくてはダメだってことですね。
スキャトレふうた(以下ふうた) 私も悪くはなかったですね。短期でここぞという決まった条件下に絞ってトレードをしていたので日に数回しかしていませんし、今年は動画にも力を入れていたのでそれも良かったのかもしれません。それとトレードをリアルタイムで連絡していた仲間がいたことも大きかったです。手当たり次第にトレードをしていたら、難しかったかもしれませんが。それらのことがあって慎重になっていた分、今年は負けらしい負けというのはありませんでした。
編集部 アウトプットしていたことで、より慎重なトレードができたってことですね。
ふうた 加えて、ここ数年研究していた利を伸ばすための試行錯誤が今年は安定してきていて、スキャルピングでも10〜20pips取れるトレードが多くなってきました。
編集部 今年はボラティリティもあったので短期勢が好調だということは納得です。では中長期代表のドルえもんさんはどうですか?
川崎ドルえもん(以下ドル) コロナ禍の影響で前半はダメでしたね。今はやっと年末にかけてのアノマリーが効いてき始めたので調子がでてきたところです。半分あきらめていたので、データ収集や分析に徹していました。今年一番の失敗は、リアルタイムで取引していてマイナス値になった原油ですね(笑)。ただ、それがヒントになって為替天気予報を拡大して株式や商品、仮想通貨のデータも収集・分析しています。FX単独だと今後の収益が厳しくなるのではないかと考えています。
編集部 今年はCFDの取引が増えてきているらしく、特にFXトレーダーが参加しはじめていると聞きます。日米共に株は堅調ですしね。非常に魅力的なデータになると思います。
ドル 日経平均であれば、3月31日の日足に陽線がついたのは過去30年間で2回だけしかないなど面白いデータもありました。
コウスケ 私も今年は株がすごい儲かったなと思うくらいですね。ただ実力というよりは本当に地合いが良かった(笑)。下がったら買いまくろうと。コロナショックのときは、いろいろな口座から株に資金を集約させて、分割でどんどん買い増していました。結果論ですが、成功だったと思います。
編集部 今回集まっていただいた4名は、それぞれスタイルも違っていますし、自分のスキルをしっかり持っています。しかし長年相場を生き残っているだけあって、あらゆる面で柔軟性がありますよね。
いいだっち スタイルでいうと、最近はスキャルピング寄りになってきています。100pipsくらい取っていた人間が、アジャストしていった結果10〜20pipsくらいを刻んでくるようになったのはやはり今年の影響が強いですね。利幅を広く取るにはリスクが大きかったし、全然動かないこともありました。特にポンドは顕著で、50〜60pips含み益が出ているのに、突然逆行し始めることもたくさんありました。
ふうた 私もポンド円ばかりやっていましたね。ドル円は米大統領選の後に少し動いていたところを取引したくらいで、他はポンドドルやユーロドルをたまにという感じでした。
編集部 何だかんだいって、今年はやはりポンド主導でしたね。
ふうた 特にトレンドが出ているときは順張りさえやっていれば、取りやすい時期も多かったと思います。
2020年の個人的トピック
編集部 トレード以外で今年の個人的ビッグニュースはありましたか? 何か高額なものを買ったり、どこかへ出かけたとか。
コウスケ 私はサロンを始めました。きっかけは前々からアウトプットする場を探していたので、その環境としてやってみたかったんです。日々生配信をしたり、ディスカッションしてロジックや情報を収集するのにサロンは最適です。
ふうた 今年はYouTubeの配信を始めたことでしょうか。チャンネル登録者数も何とか1万人を超えました。
編集部 開設から、すごい勢いでチャンネル登録者数が増えてますよね。
ふうた コロナショックの自粛期間中で皆さん動画を見始めたタイミングだったり、ユーちぇるさんやJFXさんのサポートもあったからだと思います。でも自粛期間が終わると勢いも落ち着いてそこからの足踏みも長かったですよ。視聴回数も分かりやすく下がっていきました。そこで、何が原因かを検証するために細かい変更もしていたんですが、特に変わらないんですよね。むしろ変えていくと下がっていく、そのままの方が良いというのが分かってきました。数字は大事で、やはり数字が下がるとやる気もなくなってしまいますよね(笑)。
編集部 ですが、やはり1年経たないうちに、というのはスゴイことです。しかも、ほぼ毎日更新していますしね。
ドル 私はメディア出演が増えたことです。顔出しもするようになりましたし、ラジオ日経さんにも出させていただきました。
編集部 メディアに出るようになって何か変わりましたか?
ドル 伝えようとする言葉の使い方が変わりました。昔は専門用語も「これぐらいは知っておけよ」というエゴ的な話し方から、初心者向けになって分かりやすい言葉を心掛けるようになりました。やはり相手に分かってもらいたいときに、難しい言葉を使うとなかなか伝わりにくいです。動画を始めた理由も、その伝えるを練習するための一環ですね。自分のブログの文章も、今は書いたあとに一度読んで、堅い言葉遣いの部分を分かりやすくしていく作業をしています。例えば「ロンフィク」といった、トレーダーは当たり前のように使う言葉でも一般の人は知らないですよね、そこも解説するようにしています。
ふうた でも、そういうのって「自分で調べてほしい」とも思いますよね。検索して調べれば簡単に分かることも結構聞かれます。「逆指値って何ですか」とか(笑)。
編集部 でも皆さん優しいから、いいだっち先生以外はちゃんと答えてくれそうですけどね(笑)。
いいだっち そんなことないよ(怒)。ただ、しっかり理解するためにも、せめて自分で前もって調べてみるクセはつけた方が良いよね。
ふうた 僕も同じ意見で、その地点から解説をはじめてしまうと、重要なポイントにたどり着くまで、かなり時間がかかってしまいます。よくYouTubeは「初心者層を攻めるべき」といわれていますが、私はトレーダーが伸び悩みを感じはじめたところから、さらに上達できるポイントというのを意識しています。
いいだっち 個人的ニュースというのであれば、メイン口座を変えましたね。トレードのやり方をアジャストも含めて少し変えていったといいましたけど、短期で頻繁にトレードするようになると、口座もそれに適したものにする必要があると思ったからです。以前は週1回くらいのゆったりペースだったので、それほど意識しなかったのですが、やっぱり変更して正解だったと思います。ひさびさにトレーダーっぽくなってきた感じです(笑)。
勝てないのは相場のせいじゃない
編集部 今年は難しい相場といわれていましたが、勝てる人はちゃんと勝てています。ぶっちゃけ勝てない人の原因はなんだと思いますか?
ふうた 勝てない人の特徴は「やらない・継続ができない」というところだと思います。特にチャートを毎日見なかったり。
ドル 基本面倒くさがりが多いですよね。
ふうた 楽して勝とうとするスタンスが負けるのであって、おそらく原因の9割がそれだと思います。トレードに限ったことではなく、どこの世界も同じだと思いますけど。
いいだっち あとは技術と実践することが大事。
編集部 スポーツに近い部分もありますよね。ルールを勉強したり教本を読むことも大事ですが、実際に試合で勝つには、相当な練習が必要になりますからね。
ふうた 技術を教えても本人が練習しないと使いこなすことはできませんよね。
ドル しかもプロであっても勝率は良くて4割、なのにFX界隈だと勝率8割とか。正直どうですか8割いけます?
コウスケ 回数を重ねていくと難しいですよね。なので、どこで勝負して8割に近づけるかだと思います。
編集部 トレードする相場は自分で選べるわけですから、そこも大事ですよね。
ふうた 初心者にかぎって大きな金額でトレードしてしまいますからね。結局勝てなくて損失だけがかさんでいく。資金がなくなって続けられないという失敗をする方もいますね。
ドル 資金管理ができない人も多いです。ツイッターで簡単な計算の質問をするんですが、答えられない人が多い。
コウスケ 確かな情報や技術を提供していても、結局実践できる人が少ないんでしょうね。
いいだっち そこもスポーツのように経験が重要な場面も多いですからね。
編集部 いやはや、最後は説教の場みたいになってしまいましたが、これこそ忘年会ということで、来年も皆さんのご活躍を期待して、ここでお開きにしたいと思います。本日はありがとうございました。
※この記事は、FX攻略.com2021年2月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
「これからFXを始めよう」と思ったとき、意外と悩んでしまうのがFX会社、取引口座選びではないでしょうか? でも大丈夫。ご安心ください。先輩トレーダー達も最初は初心者。みんなが同じ悩みを通ってきているんです。
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