前回まで4回にわたって経済指標と長期チャートの関係性を確認しました。今回は長期トレードを実践するにあたり、「いつ、どのように取引を開始(エントリー)すべきか」、そして「いつ、どのように取引を終了(決済)すべきか」、具体的なポジションの取り方について考察していただきます。
※この記事は、FX攻略.com2017年12月号の記事を転載・再編集したものです
【月足トレードで生きてます 連載記事】
・第1回 私が月足を選んだ理由[ゆったり為替]
・第2回 月足トレードを好む理由[ゆったり為替]
・第3回 経済指標との付き合い方[ゆったり為替]
・第4回 政策金利とドル円の関係[ゆったり為替]
・第5回 豪ドル円・NZドル円のスワップポイントと月足トレード[ゆったり為替]
・第6回 消費者物価指数(CPI)上昇率と為替レートの関係[ゆったり為替]
・第7回 米雇用統計とドル円の関係[ゆったり為替]
取引開始時期は「大雑把」でOK
月足の長期トレードは、デイトレードなどの短期トレードと明らかに異なります。というのも、取引開始タイミングは「大雑把」でOKだからです。また、デイトレードの場合、ローソク足の形が極めて大きな意味を持つのですが、長期トレードの場合はそうでもありません。ローソク足については「始値、高値、安値、終値」の四つで作られているという基礎的な知識だけ押さえておけば事足ります。
では豪ドル円の長期チャートを見ながら、具体的に考えましょう。
豪ドル円を買う場合
豪ドル円を買って、長期的に保有したいと考えたとします。買うとスワップポイントは継続的にプラスでした。そこで、今後も買いの側のスワップポイントは継続的にプラスだと考えたとします。豪ドル円のチャート①をご覧いただいて、どのあたりで買えば良いのか考えてみてください。
1995年、2000年、2008年に強烈な円高になっています。しかし、この3回の円高では、いずれも50円台まで円高になったものの、それよりも円高にはなっていません。ということは、「60円を割り込んだあたりで買えば良いのでは?」と思う方が多いでしょう。はい、月足トレードの分析はこれで大丈夫です。とても簡単ですね。難しい計算式やインジケーターは不要です。
ただし、実際のトレードはこれほど単純にはいかないのが現実です。今の為替レートが60円を切っていれば特に問題なく、過去の値動きを重視するなら買います。しかし、現在の為替レートが70円だったらどうしましょう。あるいは80円だったら?90円の場合は?
豪ドル円が60円よりも円高になったら買いたいと思っても、もう二度とその円高は実現しないかもしれません。将来の値動きは、誰にも分かりません。そこで、少し工夫が必要になります。
長期トレード開始時の工夫(その1)
豪ドル円=55円で買えれば最高だけれど、今は円高でないとしましょう。この場合、「円高になるたびに少しずつ買う」という方法があります。80円で1000通貨買い、78円で1000通貨買い…(以下繰り返し)…56円で1000通貨買い、といった具合です。そして、レバレッジは2倍程度に収まるようにします。
豪ドル円の過去最低値は55円くらいですが、将来、この数字は更新されて50円になるかもしれません。将来のことを断定的に予測するのは不可能です。そこで、レバレッジを低くします。将来の予測は困難という立場を重視するなら、豪ドル円が50円や48円になっても少しずつ買う、というプランを作っても良いでしょう。
以上の通り、円高になるたびに少しずつ買っていけば、「買いたい」という希望を満たすことができます。また、円安のときにたくさん買いすぎて円高になったときに買えない、という残念な状況を回避できるでしょう。円高記録を視野に入れて少しずつ買いますので、さらに円高が進んでも怖くありません。
この方法を使うと、実際には大幅円高にならずに反転して円安に進んでしまったとしても、問題ありません。というのは、既に少しではありますが買いポジションがあるからです。すなわち、「円高になってもOK、円安になってもOK」という最強のトレードが出来上がります。
なお、このトレードの弱点は「買いのスワップポイントがマイナスになるとき」です。長期保有で買っているときにスワップポイントがマイナスになると、どうにも苦痛で仕方ありません。よって、「豪ドル円のスワップポイントがどうなると考えるか?」が大きなポイントになります。この点で、長期トレードは経済指標分析が重要になってきます。
長期トレード開始時の工夫(その2)
もう一つ、豪ドル円を買うときの工夫を考えてみましょう。チャート①の赤い線をご覧ください。この赤線を補助線といいます。
為替レートが円高に進んできても、なぜか赤線部分ではじかれて円安になっている様子が分かります。これを見れば、「赤線の少し上で買えば良いのでは?」という予想ができます。そこで、為替レートが赤線の上まで来たら買います。
ただし、チャート①の横線は10円ごとに引いてあり、とても範囲が広いです。そこで、77.50円で少し買い、77.00円で少し買い…という具合に、ここでも円高になるたびに少しずつ買います。「少しずつ」が大きなポイントです。
では、「赤線を明らかに越えて円高になったらどうする?」ですが、この場合は損切りします。月足のチャート分析では、100銭程度の値動きは誤差として考えますので、損切りするときには大きな損失になると予想できます。
重要なのは、新規買いするときに小さく買うことです。利食いするときにも同様に「100銭くらいは誤差」という感じで利食いします。利幅は1000銭単位で巨大になりますので、とにかく小さく取引しましょう。損切りするのが嫌な場合は、その1の方法を検討してください。
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長期トレード終了時(決済)の工夫
次に、決済するときの工夫を考えましょう。今回、例にしている豪ドル円で考えますと、100円をしっかり越えて円安になった時点で利食いしたいと感じるでしょう。しかし、それはなかなか難しいです。
豪ドル円=75円で買っていて、その後に為替レートが80円になったとします。500銭もの利幅です。長期トレードでは100銭は誤差として片付けることができますが、それでも500銭は大きな数字です。利食いしたい気持ちが芽生えるでしょう。
そこは何とか踏みとどまり、その結果85円まで円安になったとします。決済したくなりませんか? 何しろ、1000銭もの巨大な含み益があるのです。ここで利食いしないで頑張った結果、再び75円まで円高になってしまうかもしれません。もしかしたら、60円台になる可能性もないわけではありません。そうなったら、利食いしなかったことを強烈に後悔しそうです。しかし、長期チャートを見ると100円越えも期待できそうです。
要するに、決済してもしなくても、ひどく疲れるトレードになります。「いつ決済するか」を考えるのは楽しいかもしれませんが、度が過ぎると疲弊します。
そこで、例えば1万通貨買っていたとしたら、200銭含み益になるたびに1000通貨ずつ決済するという方法があります。こうすれば、決済したいという欲望を満たしつつ、さらに円安を狙うという目的も達成できます。
途中で円高に反転してしまっても、既にいくらかは利食い決済していますから、全く利食いできずにダメなトレードになってしまう失敗も回避できます。
長期トレードの手法まとめ
・インジケーターは不要です(使っても構いません)。簡単なチャート分析でOK!
・新規取引では、少しずつ売買しましょう!
・決済するときも、少しずつしましょう!
※この記事は、FX攻略.com2017年12月号の記事を転載・再編集したものです
ゆったり為替さんの月足トレードスタイル
売買スタイル
長期トレードとリピート系注文に力を入れています。週足から月足を使うトレードが中心です。
トレードのスケジュール
【午前6時〜7時ごろ】
NYクローズ後のニュースを流し読み(5分くらい)。その後チャートを確認(5分〜10分)し、スプレッドが狭くなってきたところで売買。トレードに要する時間は、1日10分〜15分くらいです。
【日中】
日中は、バックテストをしたり、経済指標の分析やFX各社のツールの研究をしたりします(時間は決めず、満足できるまで没頭)。これをトレードに含めるならば、かなり長い時間FXをしているということになります。
取引しているFX会社
用途に応じて多数。最も資金を投入しているのはセントラル短資FXで、スワップ狙いをしたり、実験的なトレードをしたりしています。
チャート分析の環境
セントラル短資FX「クイック・チャート・トレード・プラス」を使用しています。
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主にトレードする通貨ペア
20通貨ペア以上を取引対象としています。週足〜月足のトレードの場合、通貨ペアを幅広く確認しないと取引機会が少なくなるためです。
トレードスタイルのポイント
キーワードは「老後」「年金不安」。年老いて働けなくなり判断力が衰えてもなお、FXを収益源にできるか、ということに重きを置いています。
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「これからFXを始めよう」と思ったとき、意外と悩んでしまうのがFX会社、取引口座選びではないでしょうか? でも大丈夫。ご安心ください。先輩トレーダー達も最初は初心者。みんなが同じ悩みを通ってきているんです。
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\FX会社によって違うところをチェック/
スプレッド | FX取引における取引コスト。狭いほうが望ましい。 |
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約定力 | 狙った価格で注文が通りやすいかどうか。 |
スワップポイント | 高水準かどうか。高金利通貨の取り扱いの数。 |
取引単位 | 少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。 |
取引ツール | 提供されるPC・スマホ取引ツールの使いやすさ。MT4ができるかどうか。オリジナルの分析ツールの有無。 |
シストレ・自動売買 | 裁量取引とは別に自動売買のサービスがあるかどうか。 |
サポート体制 | サポート内容や対応可能時間の違いをチェック。 |
教育コンテンツ | 配信されるマーケット情報や投資家向けコンテンツの有無。 |
キャンペーン | 新規口座開設時や口座利用者向け各種キャンペーンの内容。 |