過剰最適化とは何か
EAを使った自動売買を語る上で、避けて通れないのが「過剰最適化」(オーバーフィッティング)です。過剰最適化とは、EAのロジックやパラメーターを過去の値動きに過度に合わせすぎてしまうことをいいます。
過剰最適化によって作られたEAは、バックテスト上では非常に優れたパフォーマンスを発揮しますが、あくまでも過去の値動きに特化しているため、将来の予測性能に乏しく、実際の運用ではパフォーマンスが悪化することが多いです。皆さんも、バックテストは非常に優秀だけど、フォワードテスト(実運用)では全然勝てない、というEAを見たことがあるのではないでしょうか。
今回の記事では、市販されているEAが過剰最適化されているかどうを見抜く、重要なポイントを伝授します。
バックテストの期間に注目!
右肩上がりのきれいなバックテスト結果を作るには、検証期間は短い方が簡単であることはいうまでもありません。検証期間が短ければ短いほど、より精度の高いバックテストを作りやすくなります。そのためバックテスト期間が短いほど、過剰最適化(=実際にはあり得ない高いパフォーマンスになってしまう)のおそれが高まります。バックテストの期間は最低でも2~3年、できれば10年以上あると安心です。
取引回数が多いものを選ぶ
バックテスト上の取引回数が多ければ多いほど、過去の特定の値動きに対して最適化している可能性が低くなるため、結果の信頼性が高まります。試行回数が多いほど結果は真の確率に収束するという「大数の法則」の観点からも、やはり取引回数は多い方が好ましいでしょう。
検証期間にもよりますが、バックテスト上で最低でも2~300回程度の取引は必要です。取引回数が1000回以上あれば、かなり信頼できるといえます。ただし、複数のポジションを持つEAは、実際よりも取引回数が多く見える場合があるので注意が必要です。
ロジックは複雑すぎないか?
一部のEAでは、複数のロジックをまとめて一本のEAとして売り出しているものも存在します。このようなEAは利用者からすれば、とてもお得な印象を受けますが、実際には一つ一つのロジックの取引回数は少なくなりやすく、結果の信頼性には疑問が残ります。
また、単一のロジックを用いたEAであっても、極端に複雑なロジックであったり、パラメーターを細かく調整しているものについても、実際の相場ではバックテストほどのパフォーマンスを得られない可能性が高いです。
市販のEAがどのようなロジックで取引しているかを利用者が見極めるのは難しいですが、開発者によるロジックの説明、パラメーターの個数、EAのファイルサイズ、バックテストにかかる時間などから、ある程度は推測可能です。
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成績が良すぎるものは要注意!
これはとても逆説的な話ですが、バックテストの成績が良すぎるEAというのは過剰最適化の可能性が非常に高いです。というのも、ゼロサムゲームである実際の相場では絶対に負けないロジックなどあり得ませんし、一般的なEAに比べてあまりにも高いパフォーマンスを持つEAというのは、バックテストの成績を良く見せるために非常に時間をかけて最適化されているかもしれないからです。
具体的には、プロフィットファクター(PF)が2.0以上、単利計算で年間の利回りが100%以上のものについては注意が必要です。もちろん、実運用でこれらのパフォーマンスを上回るEAも存在しますが、あまりにも勝ちすぎるEAというのはロジックの優位性がすぐに失われやすいと考えられるので、ほどほどに負けるEAの方が現実的であり、長期運用では有利です。
やはりフォワードテストが大事
過去の連載で何度も述べていることですが、フォワードテストを見なければEAの真の性能は分かりません。バックテスト通りの成績が本当に出せるかどうか(=過剰最適化かどうか)は、フォワードテストを通じて判断するしかないからです。
フォワードテストの期間は最低でも半年以上、取引回数は100回以上は必要です。フォワードテストの取引結果(勝率、PFなど)が、おおむねバックテストと同じであると判断できれば、そのEAが過剰最適化である可能性は低くなります。どんなEAであっても、使う前にしっかりとバックテストとフォワードテストの両方を見極めることが、自動売買を行う上で最も重要なことです。
※この記事は、FX攻略.com2019年12月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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