そもそも最適化とは?
第6回の連載では、アルパリのヒストリカルデータを利用したバックテストのやり方を紹介しましたが、今回はそこからさらに一歩進めて、EAの最適化をやってみましょう。
EAの最適化とは、EAのパラメーターを総当たり的に調べて、最も優れた組み合わせを探す作業のことです。移動平均線のクロスのような単純な手法であっても、使用する2本の移動平均線の期間や、利益確定・損切りの幅によって収支は大きく変わってきます。これらをMT4を使って一気に調べるのが最適化検証です。
最適化検証するパラメーターの設定
それでは早速、MT4を使って最適化をしてみましょう。バックテストと同様に、最適化にもヒストリカルデータを使うので、あらかじめ準備しておく必要があります。今回は、『スキャルピングドラゴン V2』の損切り(ストップロス)の値を最適化してみます。
まず、MT4の「表示」から「ストラテジーテスター」を選択します。テスターで最適化したいEAを選んで(今回は「Scal pingDragonV2」を使用)から、「エキスパート設定」を押し、「パラメーターの入力」タブを開きましょう。
次に最適化したい項目にチェックを入れます。今回は損切りの値を最適化するので、「損切り(pips)」の左側にチェックを入れましょう。スタートとは最適化を開始する最小値、ステップとは最適化を行う値の間隔、ストップとは最適化を行う最大値を意味します。今回は、スタートを「5」、ステップを「5」、ストップを「200」と入力して「OK」を押します(画像①)。
バックテストをするときと同じように、使用するEAに合わせて、通貨ペア、モデル、期間、スプレッドを設定します。最適化検証を行う場合は、右下の「最適化」にチェックを入れるのを忘れないようにしましょう(チェックを入れない場合は通常のバックテストとなります)。設定が完了したら「スタート」を押してください(画像②)。数十秒~数分ほどで結果が表示されます。
最適化結果の見方
検証終了後、「最適化結果」のタブを開くとパラメーターごとのパフォーマンスが一覧となって羅列されています(画像③)。
デフォルトでは損益が大きい順に並んでいますが、プロフィットファクターやドローダウンなどの任意の項目順で並び替えることも可能です。さらに、個別のパラメーターをダブルクリックすると、その設定における通常のバックテストを行うこともできます。実際の損益曲線はバックテストでしか見ることができないので、気になる設定があればダブルクリックしてバックテストしてみましょう。
なお、「最適化グラフ」のタブでは、パラメーターごとのパフォーマンスを点グラフにしたものを確認することができます(画像④)。このグラフを見れば、パラメーターとパフォーマンスの間に相関関係があるかどうかを大まかに把握できます。一般的には、最も優れたパラメーターと、その前後のパラメーターの間のパフォーマンスに大きな差がない方が好ましいと考えられています。
今回の最適化検証では、ストップロスが小さいほど損益も小さくなる傾向がみられるものの、ストップロスがある程度大きい場合は、損益に変化はありませんでした。これは、内部ロジックによる決済が影響しているものと考えられます。
短時間で最適化を終わらせるコツ
最適化検証は、うまく行えばEAの実力を最大限まで引き出せますが、とても時間がかかるのが難点です。複数のパラメーターを全ティックで最適化検証すると、EAによっては最適化検証に1日以上かかってしまうこともあります。最初のうちは、最適化するパラメーターを一つ~二つくらいに絞り、ステップを広めにとることをお勧めします。また、始値で動作するEAの場合は、最適化も「始値のみ」で行うことで、最適化にかかる時間を大幅に短縮できます。
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過剰最適化を防ぐには
「過剰最適化(オーバーフィッティング)」とは、過去の値動きにEAのパラメーターを合わせすぎてしまい、将来の値動きに対応できなくなってしまうことです。これを防ぐためには、パラメーターを緻密に最適化しすぎないことや、最適化する期間を特定の数年に絞り、その他の期間でも十分なパフォーマンスが得られるかどうか確認することが好ましいです。
最適化に時間をかけても、実際の運用で利益を上げられなければ本末転倒です。最適化で得られたデータはあくまでも参考程度と考え、過信しすぎないように注意しましょう。
※この記事は、FX攻略.com2019年8月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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