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Q17. 高金利で話題のトルコリラ円は本当に勝てるんですか?
A. 高金利だからといってスワップポイントだけ見て取引するのはNG。勝つためには高金利通貨の本質を理解してポジションをコントロールすることが重要です
トルコリラはなぜ高金利なのか
高金利通貨としてFXではなじみの深いトルコリラ。スワップトレードでコツコツ収益を稼げるため、長期投資を好む一部の投資家からは支持を受けますが、その反面、危険という声もよく聞かれます。今回は金利差トレードについて、理論をがっちり押さえながら今後の展望を考えていきましょう。
そもそもFXで金利といわれるものは、政策金利を指します。ローンなどを組まれた経験がある方は、10年金利などいわゆる「長期金利」をご覧になったこともあるかもしれません。政策金利とはオーバーナイト(1日の貸し出し金利)から3か月程度の「短期金利」を指します。中央銀行が短期金利をコントロールすることで銀行間の貸し出し意欲を刺激・抑制し、通貨の供給量を調整するために金融政策の指針に基づいて短期金融市場でオペレーションを行っています。
ご存じの通り、日本の政策金利は20年以上0%台で横ばいですが、通常投資を行うのであれば金利が高い方が魅力的です。このため新興国では先進国よりも金利を高めに設定する傾向にあります。
ここで注意したいのが、金利は高ければ良いというわけではないということです。金利にはさまざまなリスクがあり、トルコのようなエマージング市場においては、国家が債務不履行になるリスク「ソブリンリスク」と呼ばれるものが加味されているのです。そのため、非常に高い金利がつくわけです。これらをまとめると、
新興国の政策金利=経済調節のため設定する金利+その国の財政リスクを加味し上乗せした金利
となります。したがってトルコリラに投資を行う際は、ファンダメンタルズを考慮する必要があります。
https://fx-koryaku.com/traderssec/service-main-13
トルコのファンダメンタルズ
トルコは30年も前からインフレに苦しんでいて、90年代にはインフレ率が100%を超えるハイパーインフレを経験しており、インフレ抑制意欲が強いのが特徴です。そのため現在の政策金利でも8%とかなりの高金利を設定しています。しかしながら、先ほど述べたソブリンリスクによる上乗せもあるので注意が必要です。
さらにトルコリラ安の原因となっている最たるものは地政学的リスクです。昨年トルコでは国民投票が実行され、議院内閣制から大統領国家へと憲法改正が行われ、エルドアン大統領が独裁的な権限を持つ国家元首となりました。もとよりエルドアン大統領は自らに近い人間を首相に任命するなど、2014年の大統領就任後は一貫して権力集中に時間を費やしてきました。そしてこの憲法改正でさらなる権力を手に入れたのです。
エルドアン大統領への権力集中を好まないEUとの溝は深まるばかりです。また米国との関係でもエルドアン大統領が「テロ国家である」と強烈に非難するイスラエルとトランプ陣営が近いことから、中間選挙を控え外交でリーダーシップを取りたいトランプ氏の挙動によっては、さらに緊張が高まることも予想されます。
長期ポジションは今年が買い好機か
トルコリラは金利先行でトレードをする方が非常に多いので、あえてリスク面を中心にお話しさせていただきましたが、私は少なくとも今のトルコリラに投資余地はあると考えています。今年に入りシリア内紛関連のトピックスは減少傾向にあり、トルコ国内でのテロの勢いも弱まりつつあるようにも思います。
また、テクニカル面でもこの10年間下がり続けてはおりますが、歴史的な安値圏であることから割安感も出てくるでしょう。上昇とまではいかないまでも現状を維持できるのであれば、高金利であるスワップポイントがアドバンテージとなってきます。もちろん突発的なリスク局面にさらされることはありますが、世界経済がこのまま緩やかな拡大を継続することができれば、自然と揺り戻しが来るのではないでしょうか。
特に金融正常化が進んでいる欧州では、2017年に各国の選挙を乗り切ったことでポピュリズムが減退傾向にあり、シリアの難民問題も徐々に緩和するかもしれません。大切なのはリスクを理解した上で最悪のケースを想定したポジションコントロールです。
ロスカットに巻き込まれないポジションを把握して長期投資に限定するのであれば、このようなタイミングだからこそ、買いの好機と見ることもできそうです。
※この記事は、FX攻略.com2018年4月号の記事を転載・再編集したものです
第1回:気にした方がいい経済指標は?/FX会社のニュースとの付き合い方は?
第2回:プロトレーダーの取引環境を知りたい!/スマホだけでも勝てますか?
第3回:コツコツドカンの克服方法を教えて!/相場を一瞬で大きく動かすのは誰?
第4回:FXでお勧めの情報源は?/アノマリーをどう思いますか?
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スプレッド | FX取引における取引コスト。狭いほうが望ましい。 |
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約定力 | 狙った価格で注文が通りやすいかどうか。 |
スワップポイント | 高水準かどうか。高金利通貨の取り扱いの数。 |
取引単位 | 少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。 |
取引ツール | 提供されるPC・スマホ取引ツールの使いやすさ。MT4ができるかどうか。オリジナルの分析ツールの有無。 |
シストレ・自動売買 | 裁量取引とは別に自動売買のサービスがあるかどうか。 |
サポート体制 | サポート内容や対応可能時間の違いをチェック。 |
教育コンテンツ | 配信されるマーケット情報や投資家向けコンテンツの有無。 |
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