松崎美子

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    欧州ファンダメンタルズ入門|第7回 欧州中央銀行について[松崎美子]
    2020年5月24日
    欧州ファンダメンタルズ入門|第7回 欧州中央銀行について[松崎美子]
    金融政策における枠組みの見直し  2020年の欧州中央銀行(ECB)は大きく変わります。一つは、金融政策決定における枠組みそのもの。もう一つは、6名の専務理事たちの顔ぶれです。  米連邦準備制度理事会(FRB)に続き、ECBも金融政策決定における枠組みの見直しに入りました。2019年最後の記者会見でラガルド総裁は、2020年1月から見直しを始め、できる限り年末に完了したいと語っています。  どうして米欧共に、このタイミングで見直しに踏み切ったのか? ECBが最後に見直しを行ったのは2003年です。それ以降、グローバル化やデジタル化などにより世界情勢や経済構造そのものが変化しました。  ECBの責務は、「物価安定の維持」です。それを測る物差しとして、「中期的なインフレの上昇率が2%未満だが2%近く」という定義があります。しかし、ユーロ圏のインフレ率と期待インフレ率は共に長期にわたり下振れしており、いくら政策金利を下げても、実質金利の水準(名目金利から期待インフレ率を引いたもの)が十分に下がりません(図①)。こうなると一体、何のための緩和なのか、分からなくなってしまいます。これと同じ現象が…
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    2020年5月8日
    欧州ファンダメンタルズ入門|第6回 英国中央銀行の仕組み[松崎美子]
    ポンド円の取引高が昨年比で約22%増加  英国の欧州連合(EU)離脱に絡む一連の動きを受け、今年に入りポンド関連通貨ペアのボラティリティが上がっています。そして、外国為替専門シンクタンクの外為どっとコム総合研究所が、年に1回発行する「外為白書」によると、今年のポンド円取引高は昨年比約22%の増加となっています。これは、日本の個人投資家の間でもポンド関連通貨ペアの取引が活発になっている証拠です。  しかし、自称ポンド専門のトレーダーの間でも、英国中央銀行(以下、英中銀)について、よく知っている人は少ないでしょう。そこで、今回は英中銀の金融政策決定について説明したいと思います。 インフレーション・ターゲット制を導入  英中銀が導入したインフレ・ターゲットは、前年比でインフレ上昇率が2%となっており、上下±1%のバンドが設定されています。ターゲットの設定主体は財務相で、現在のターゲットは2003年に設定されました。設定主体が財務相ということから、英中銀はインフレ・ターゲットを守り、物価安定の維持を心がけながらも、政府の経済政策を同時にサポートすることが最も重要な役割であるといえます(図①)。…
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    欧州ファンダメンタルズ入門|第5回 予習をすることの重要性![松崎美子]
    2020年5月7日
    欧州ファンダメンタルズ入門|第5回 予習をすることの重要性![松崎美子]
    FXでは金融政策を知ることが重要!  金融政策とは、中央銀行が決定権を持つ金融面からの経済サポートです。そして、世界中の中央銀行は「物価安定の維持」という責務を背負い運営されています。  欧州と英国それぞれの中央銀行の仕組みや運営方法については次回以降に説明しますが、今回は金融政策についてざっくりとした認識を持っていただけるよう、記事にまとめてみました。まずはインフレ・ターゲットと金融政策理事会について説明します。 ●インフレ・ターゲット(インフレ目標)  具体的に、中央銀行はどのようにして、物価を安定させるのでしょうか? 答えは、「インフレ・ターゲット」(インフレ目標)の設定です。インフレが進み過ぎたり、デフレが深刻にならないよう、政策金利というツールの調整をしながら、中央銀行は金利の決定を行います。 ●金融政策理事会  中央銀行は定期的に政策金利を決定するための会合を開き、それを「金融政策理事会」(以下、理事会)と呼びます。その中でも為替市場に大きな影響を与えるのは、マーケットの取引高が高い米国(ドル)、ユーロ圏(ユーロ)、日本(円)、そして英国(ポンド)の理事会であることは疑いの…
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    欧州ファンダメンタルズ入門|第4回 英国の注目経済指標[松崎美子]
    2020年4月30日
    欧州ファンダメンタルズ入門|第4回 英国の注目経済指標[松崎美子]
    EU離脱を受け注目指標が変化  今回は英国を取り上げようと思います。繰り返しになりますが、どの国でも注目指標を探すには、その市場の現状を踏まえることが大切です。英国に関しては、2016年6月に行われた欧州連合(EU)離脱の有無を問う国民投票で「離脱」となったことを受け、注目される指標も若干変わってきました(表①)。 ●国内総生産(GDP) 図① 出典:英国統計局  図①は2019年第2四半期までのGDPチャート(前期比)ですが、欧州や英国では前期比の数字がメインに発表されます。2019年7月末にボリス・ジョンソン政権が誕生し、10月31日に合意なき離脱となるリスクが濃厚になりました。これを嫌気した企業投資や個人消費の低迷が重しとなり、7年ぶりにマイナス成長へ転じています。 ●消費者物価指数(CPI)とコア・インフレ  英国の中央銀行であるイングランド銀行(BOE)の金融政策の責務は、「物価安定の維持」であり、インフレ・ターゲット制を採用しています。その定義は、「前年比でインフレ上昇率が2%」となっており、財務相が決定権を持っています。BOEのインフレ・ターゲットと欧州中央銀行(ECB)…
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    欧州ファンダメンタルズ入門|第3回 欧州の注目経済指標[松崎美子]
    2020年4月29日
    欧州ファンダメンタルズ入門|第3回 欧州の注目経済指標[松崎美子]
    欧州の注目経済指標とは  ユーロ圏に限らず、注目指標を探すには、その市場の現状を踏まえることが大切です。また、国際情勢の大きな流れをきちんと頭に入れると、おのずと注目すべき経済指標や材料が見えてきます。今回は、欧州の注目経済指標を紹介します(表①)。 ●国内総生産(GDP)  経済動向を把握する上で、マクロ経済の王者:GDPにかなう指標はありません。  GDPとその国の通貨の関係は、GDPが強くなると通貨高になると考えるのが一般的な解釈です。GDPが強ければ、景気過熱感が出てくるかもしれず、それを防ぐ意味で中央銀行による金融引き締め(利上げ)実施観測が出て、ますます通貨高になります。  逆に、GDPが弱い国の通貨は売られやすくなります。景気が低迷し、インフレ率が極端に低くなったり、デフレ傾向となったりした場合は、中央銀行が景気活性を目指し政策金利カットや、追加緩和策の導入などを検討します。通貨もそれにつれて売られやすくなるのは、当然の動きともいえるでしょう。 ●消費者物価指数(HICP)とコア・指数  欧州中央銀行(ECB)の金融政策の責務は、「物価安定の維持」であり、それを達成するた…
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    欧州ファンダメンタルズ入門|第2回 相場を動かす材料/旬の経済指標[松崎美子]
    2020年4月4日
    欧州ファンダメンタルズ入門|第2回 相場を動かす材料/旬の経済指標[松崎美子]
    マーケットでの注目材料の移り変わり  マーケットで取引される通貨、株、債券などの価格は、需給・ファンダメンタルズ・テクニカルの影響を受け、短・中長期のトレンドを形成します。特に、ファンダメンタルズと聞くと「難しい!」という反応をする方がおられます。しかしファンダ苦手組も、国内総生産(GDP)やインフレ率などの経済指標発表時には、無意識のうちに自分なりに数字を分析しポジション形成に役立てているので、先入観の部分が大きいように感じます。  ここ数年、市場が一番注目していた経済指標は、米国の雇用統計でした。しかし過去を振り返ると、相場を動かす材料や旬の経済指標が時代と共に変化していることが分かります。今回のコラムでは、「相場を動かす材料の移り変わり」と「旬の経済指標」についてお話しします。  それではまず相場を揺るがした出来事を振り返ってみましょう(図①)。為替の歴史で最も大きな影響を与えたのが、1985年9月のプラザ合意です。当時はレーガン米大統領が「強い米国の復活」を声高に叫び、レーガノミックスと呼ばれる経済政策を発表し、そこには「強いドル」という為替政策が含まれていました。しかし、強い…
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    欧州ファンダメンタルズ入門|第1回 欧州市場の特徴[松崎美子]
    2020年3月27日
    欧州ファンダメンタルズ入門|第1回 欧州市場の特徴[松崎美子]
    兼業トレーダーにはうれしいロンドン市場  このたび、英国を含む欧州のファンダメンタルズについて書くことになりました「ロンドンFX」松崎美子です。外国為替(FX)市場は、24時間眠らないと言われておりますが、アジア・欧州・米国とそれぞれ特徴があり、注目される経済指標や要人なども違います。そこで、英国在住の私から見た欧州ファンダメンタルズについて、皆さんと情報共有をさせていただければと思います。  FXのマーケットは、東京市場が終わると欧州大陸に移り、1時間遅れでロンドン市場がスタートします。実需筋に加え、機関投資家、ヘッジファンドに代表される投機筋、M&A絡みなど、ありとあらゆる人たちが一斉に参入してくるロンドン市場は、最も取引高が大きいことが特徴です。そして、ニューヨーク市場終了時間まで、中央銀行や政府関係者などの要人発言、議会証言など、あまりアジア市場ではお目にかかれないイベントが続きます。  取引通貨の幅は広く、ユーロやポンドを筆頭に、アジア時間には流動性が全くない北欧・中東・アフリカ・ロシア・東欧など、通貨のデパートのように選択肢が広がってくるのもロンドン市場の面白さかも…
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    2016年2月5日
    【FX対談】ヨーロッパ市場と通貨にチャンスあり![松崎美子×Sarah]
    元外国銀行トレーダーでロンドンから政治や経済の最新情報を発信し続ける松崎美子さん。そして、本誌でおなじみのSarahさん。ふたりがトレード手法からニュースの大事さ、ユーロ問題のゆくえ、そして、アメリカの利上げ動向までと、未来を見通すために「今」に鋭く切込んだ異色の対談。 景気のいいイギリスでFXは? サラ 松崎さんはイギリスに住んでらっしゃいますが、景気はどうですか。 松崎 イギリスはめちゃいいです。1970年代から始まったサッチャー政権では、持家制度を打ち出して、公営住宅を個人に売却するようになりました。それ以降は、それまで家をもっていなかった層がどんどん自分の家をもつようになり、その傾向は現在もずっと続いています。2014年なんか住宅バブル状態になりましたね。 サラ そんな景気のいいイギリスで、FXは人気がありますか。 松崎 つい5~6年前までは、もとディーラーが中心でしたが、最近は本当に少数ですが、ふつうの人もやり始めたようです。 娘の友だちがロンドンのFXを教える学校に通っているとか、うちの近所で犬の散歩をさせている人たちが儲かったとか損したとか話しています。 サラ 個人がけっ…
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    2015年9月23日
    ドラギ総裁、議会証言[松崎美子]
    欧州中銀(ECB)の総裁は、四半期に一度、金融政策について欧州議会・経済金融特別委員会で証言をする義務があります。今年に入って3度目の議会証言が、9月23日(水)に行なわれることになりました。この日は欧州を悩ませ分裂させている難民問題を協議するための特別EUサミットの開催とも重なり、欧州から新しいヘッドラインが出やすい日となりそうです。 予想される証言内容 最初に議会証言の時間ですが、欧州大陸時間の15~17時(日本時間22~24時)までとなっています。前回の議会証言から3ヶ月が過ぎましたが、その間に中国発の株価下落や人民元切り下げなど、世界の金融市場に不安が走っています。 9月3日に開催された欧州中銀(ECB)理事会後の記者会見でドラギ総裁は「量的緩和策を実施する上で、公的セクターの買入れプログラムにおける銘柄の買入れ枠を25%から33%に引き上げることを決定した」と発表。マーケットが全く予想もしていなかった形での緩和とも取れる発表を受け、ユーロは急落しました。 同じく記者会見の席で発表された3ヵ月後のマクロ経済予想である「スタッフ予想」でも、将来のGDP・インフレ率全てを前回6月の…
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    2015年9月9日
    ギリシャ総選挙に向けて[松崎美子]
    9月20日、ギリシャでは今年2度目の総選挙が実施されます。1月に最初の総選挙、7月には国民投票、そして9月は新たな総選挙と、ギリシャ国民は投票続きで疲れているかもしれません。先月に議会を解散した時、ツィプラス元首相は9月以降の新政権でも続投することに自信満々でした。「ギリシャ国民は、これ以上の緊縮財政策を望まない。自分が再選したら、債務削減を含め、ヨーロッパにギリシャ側の要求を受け止めてもらおう。」そう願って、解散総選挙を打って出たと私は思っています。 しかし、ここにきて、国民の支持が変わってきたようです。 最近の世論調査結果 ギリシャにはいくつもの政党がありますが、新民主主義党(ND党)とPASOK党が2大政党と呼ばれており、ここが今まで伝統的に政権を握ってきました。しかし、今年1月の総選挙では、緊縮疲れした有権者が反緊縮政党である急進左派連合(SYRIZA シリザ党)を選び、2大政党以外の政権が発足したのです。 解散当時はシリザ党が支持率の3割以上を占め、断トツ有利でしたが、最近になってから、少しづつ変化が出てきました。そしてこの週末に発表された調査ではショッキングな結果となったの…