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月足トレードで生きてます|第9回 平均購入単価の引き下げ方[ゆったり為替]

前回で紹介した、長期トレードで買いポジションを取る方法は非常に有効な戦術となりますが、ポジションの平均購入レートが少し高くなってしまうという難点があります。そこで今回は、その問題を解消する「平均購入レートを引き下げる二つの方法」を教わります。

※この記事は、FX攻略.com2018年1月号の記事を転載・再編集したものです

【月足トレードで生きてます 連載記事】
第1回 私が月足を選んだ理由[ゆったり為替]
第2回 月足トレードを好む理由[ゆったり為替]
第3回 経済指標との付き合い方[ゆったり為替]
第4回 政策金利とドル円の関係[ゆったり為替]
第5回 豪ドル円・NZドル円のスワップポイントと月足トレード[ゆったり為替]
第6回 消費者物価指数(CPI)上昇率と為替レートの関係[ゆったり為替]
第7回 米雇用統計とドル円の関係[ゆったり為替]
第8回 長期トレードでのポジションの取り方[ゆったり為替]

超円高になったら?

前回(第八回)において、長期トレードでの買いポジションの取り方をご案内しました。最安値で一気に買えれば最高ですが、とても難しいです。そこで、円高になるたびに少しずつ買います。こうすれば、円高になればなるほど買えますし、円高になる前に大きく円安になってしまっても、それまでに買ったポジションが含み益となります。レバレッジに気をつけながら買い進めれば、とても良い方法だと思います。しかし、難点があります。それは、ポジションの平均購入レートが少し高くなることです。

例えば豪ドル円を、90円から1円だけ円高になるたびに同じ数量を買い続けたとします。そして、60円になったとします。その結果、買ったポジションの平均レートは75円になります。

90円のときに買いたい数量を全て買ってしまった場合、含み損は30円分です。すなわち3000銭ですから、途方もない含み損に見えます。それに比べれば、少しずつ買って平均レートを75円にした方が良いです。含み損は1500銭です。1500銭でも十分大きな含み損ですが、3000銭に比べれば、かなり少ないです。しかし、実際に60円になってからポジション一覧を眺めると、「90円なんかで買わなければ良かったな…」と思うことでしょう。

ただし、結果として60円になったから、そう感じるだけです。85円くらいまでしか円高にならず、その後100円まで円安に突き進んでいたら「90円から買い始めて正解だった!」となるでしょう。

為替レートの動きがどうなるのか、事前に確定的に読むのは不可能です。そこはもう運だとしかいえないのですが、そうはいっても購入平均レートを引き下げたいですよね。そこで、平均購入レートを引き下げる方法を二つ考察します。

平均単価を引き下げる方法その1 

一つ目の方法は、「円高になるほど買う数量を大きくする」です。

例えば、1円円高になるたびに2000通貨買うとしましょう。この場合、90円から60円になるまでに買った数量は62000通貨です。そして、購入価格の平均値は75円になります。

ここで、買い方を少し修正します。90円〜81円までは1000通貨買い、80円〜71円までは2000通貨買うという具合に、円高になるたびに少しずつ購入数量を増やします。1000通貨で買い始め、10円刻みで取引数量を1000通貨増やす場合、トータルのポジション数量は63000通貨です。そして、平均レートは71.58円になります。

一定数量を買い続ける場合に比べて、平均値が大幅に円高方向に移動しました。すなわち、一定数量買い続ける場合に比べて、円高になるときは含み損が小さく、円安になるときは含み益が大きくなります。これはとても有力な修正案でしょう。

方法1のデメリット

ただし、デメリットもあります。85円くらいまでしか円高にならずに、その後大きく円安になる場合です。この場合は、2000通貨ずつ買うと利益が大きいです。メリットしかない方法というのは、不思議と存在しません。この方法はデメリットもありますが、円高への抵抗力が強くなるので検討に値するでしょう。

なお、この方法を採用する場合は、円高になる場合の取引数量の合計値を事前に計算しておきましょう。平均単価が引き下げられても、ポジションの数量が大幅に増加してはいけません。その後、さらに大きな円高になるときに含み損で苦しむことになります。一定の数量を買い続ける場合と比べて、取引数量の合計をほとんど変えないくらいにしましょう。

平均単価を引き下げる方法その2 

もう一つの平均値引き下げ方法は、少し面倒かもしれません。しかし、「トレードしている」という感覚をしっかり味わえる方法です。為替レートが円高になる場合、一直線に円高になることは稀でしょう。通常は、円高と円安を繰り返しながら、結果として円高になっていきます。この特性を利用します。

例えば、90円から買い進み、85円くらいになったとします。1円ごとに買えば、ポジション数は六つあります。その後、円安に反転して90円を少し超えたら、90円で買ったポジションを利食いします。そして再び円高に転じて88円くらいになったら、同数を買い戻します。こうすると、90円のポジションを消して、88円にすることができます。次に最も円安のポジションは89円です。89円を少し超えて円安になったら決済し、87円くらいになったら買い戻します。

以上のトレードを繰り返すことによって、ポジション全体を円高方向に移動させます。為替レートの動き次第の面はありますが、この方法でも平均値をじわじわと引き下げることができます。しかも、「特定の位置で少し利食いして、円高になったら買って…」というトレードを繰り返しますので、FXで頑張っている実感を味わうことができます。通常の長期トレードでは、なかなか味わえないメリットです。

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その2の方法は実際に使えるか

その1の方法を使うと、実際に平均値を引き下げられるでしょう。では、その2はどうでしょうか。ただの頭の体操ではなく、本当に実行可能な方法でしょうか。それを確認するために、豪ドル円の長期チャートをご覧ください(チャート①)。

2010年くらいからのチャートですから、とても長い期間です。2010年から2013年初めまでと、2015年後半から2017年までの値動きに注目してください。72円くらいから90円くらいまでの間で、激しく上下動していることが分かります。月足でこの値動きですから、日足や週足だと、もっと激しく見えることでしょう。これだけ動いてくれれば、72円〜90円で買ったポジションの平均値を引き下げるチャンスはいくらでもあったことでしょう。

この方法で売買することにより、75円よりも円安のポジションをなくすことも可能だったはずです。しかも、売買するたびに、少しですが利食いもできます。

方法2のデメリット

その2の方法も、残念ながらデメリットがあります。例えば、90円を少し超えて円安になったときに、利食いしたとしましょう。その後、88円で買い戻すためです。ところが、そこから円高にならずに円安方向に進んでしまったらどうでしょう。このケースでは、わずかな利食いで終了させるよりも、ずっと保有した方が良かったということになります。

このダメージを軽減するためには、ある程度の数量を買った後に実行する必要があります。90円と89円の二つのポジションを買った状態でこの方法を使うのは、適切でないかもしれません。90円から85円まで六つのポジションを持っていれば、この方法の実行を検討できるでしょう。一つのポジションが、意図せずに少ない利食いで終わってしまっても後悔しなくて済む状態になってから開始してください。

この連載でご紹介しているトレード手法は、長期です。長期といっても、10年以上を視野に入れていますので、超長期です。老後の資金を作るためのトレードといっても過言ではないでしょう。そのようなトレードでは、少しでもリスクを低くしたいです。今回ご案内した方法は、円高リスクを減らす方法として検討できると思います。

※この記事は、FX攻略.com2018年1月号の記事を転載・再編集したものです

ゆったり為替さんの月足トレードスタイル

売買スタイル

長期トレードとリピート系注文に力を入れています。週足から月足を使うトレードが中心です。

トレードのスケジュール

【午前6時〜7時ごろ】
NYクローズ後のニュースを流し読み(5分くらい)。その後チャートを確認(5分〜10分)し、スプレッドが狭くなってきたところで売買。トレードに要する時間は、1日10分〜15分くらいです。

【日中】
日中は、バックテストをしたり、経済指標の分析やFX各社のツールの研究をしたりします(時間は決めず、満足できるまで没頭)。これをトレードに含めるならば、かなり長い時間FXをしているということになります。

取引しているFX会社

用途に応じて多数。最も資金を投入しているのはセントラル短資FXで、スワップ狙いをしたり、実験的なトレードをしたりしています。

チャート分析の環境

セントラル短資FX「クイック・チャート・トレード・プラス」を使用しています。


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主にトレードする通貨ペア

20通貨ペア以上を取引対象としています。週足〜月足のトレードの場合、通貨ペアを幅広く確認しないと取引機会が少なくなるためです。

トレードスタイルのポイント

キーワードは「老後」「年金不安」。年老いて働けなくなり判断力が衰えてもなお、FXを収益源にできるか、ということに重きを置いています。

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スプレッドFX取引における取引コスト。狭いほうが望ましい。
約定力狙った価格で注文が通りやすいかどうか。
スワップポイント高水準かどうか。高金利通貨の取り扱いの数。
取引単位少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。
取引ツール提供されるPC・スマホ取引ツールの使いやすさ。MT4ができるかどうか。オリジナルの分析ツールの有無。
シストレ・自動売買裁量取引とは別に自動売買のサービスがあるかどうか。
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