これまでの連載で、長期トレードのメリットや経済指標を交えた分析方法、そして具体的な取引タイミングなどを解説していただきましたが、いずれも「資金管理」という土台があってこそ成り立つ内容になっています。今回はFXにおいて何よりも大切な、この資金管理について考察してもらいます。
※この記事は、FX攻略.com2018年2月号の記事を転載・再編集したものです
【月足トレードで生きてます 連載記事】
・第1回 私が月足を選んだ理由[ゆったり為替]
・第2回 月足トレードを好む理由[ゆったり為替]
・第3回 経済指標との付き合い方[ゆったり為替]
・第4回 政策金利とドル円の関係[ゆったり為替]
・第5回 豪ドル円・NZドル円のスワップポイントと月足トレード[ゆったり為替]
・第6回 消費者物価指数(CPI)上昇率と為替レートの関係[ゆったり為替]
・第7回 米雇用統計とドル円の関係[ゆったり為替]
・第8回 長期トレードでのポジションの取り方[ゆったり為替]
・第9回 平均購入単価の引き下げ方[ゆったり為替]
資金管理が大切な理由
今まで数多くの内容をご案内してきましたが、資金管理が圧倒的に最も大切です。資金管理さえできれば、他の事柄はあまり重要でないといってしまっても良いくらいです。ここまで資金管理を強調する意図について、取引例を見ながら確認していきます。
まず2006年から2016年にかけてのドル円チャートを見てみましょう(チャート①)。2006年から2007年あたりにかけての値動きを赤枠で囲みました。赤枠で囲った部分では、円を売って外貨を長期で保有するトレード手法がもてはやされていました。スワップポイントと含み益の両方を狙う、いわゆるスワップ派です。私もその雰囲気に乗って、かなりの額のドル円を買って持っていました。
当時のスワップポイントを振り返りますと、1万通貨保有するだけでスワップポイントが150円〜160円くらいありました。極めて大きな数字です。チャートを読むわけでもなく、相場動向を勉強するわけでもなく、ただ買って持つだけです。それだけで毎日160円前後を獲得できました。ということは、10万通貨なら毎日1600円、100万通貨なら毎日16000円です。おまけに円安傾向でしたので、スワップポイント益に加えて含み益も自動的に増える状態でした。よって、当時はドル円を買わないという選択肢を採用する方が難しかったかもしれません。
しかし、その後の展開は皆さまご存じの通りです。2011年にはドル円は70円台に突入しました。ここに至る過程で、スワップポイント狙いでドル円を買っていた人は、多大なダメージを受けたことでしょう。当時、ドル円をガッツリと買っていた私もダメージを被りました(今から振り返ると良い経験だったといえますが、やはり損はしたくありません)。
ドル円のスワップポイント推移
では、この過程でスワップポイントはどうなったでしょうか。グラフで確認しましょう(図①)。グラフは、「くりっく365」でドル円を1万通貨買って持ち続けた場合に得られたスワップポイントの大きさを、1年ごとにまとめたものです。2007年までと2008年以降では、スワップポイントの大きさが全く違うことが分かります。2008年以降は、スワップポイントがマイナスに転落してしまった日もあります。
しかし、ここで注目できそうなのは、年単位で見るとスワップポイントは毎年プラスだったという事実です。そして2015年12月以降、米国は政策金利を引き上げています。よって、2016年はスワップポイントが大きくなりました。この傾向が続けば、2017年全体のスワップポイント合計額も大きくなるでしょう。
ここで、再びチャート①を確認しましょう。何と2015年の為替レートは、2006年から2007年にかけての為替レートと同じ水準です。ということは、リーマンショック後の大暴落でもロスカットせずに頑張っていれば、2015年には含み損がなかったということになります(しかも、スワップポイント益の蓄積もあります)。
スワップポイント狙いのトレードの場合、損切り注文を出さないで長期的に保有する例がかなりあると予想します。よって資金管理さえ万全にしていれば、損せずに済んだということです。2007年以降の円高で損失を大きくした私としては、この当時に資金管理の重要性に気づいていれば…と感じざるを得ません。
相場の読みに外れあり資金管理に外れなし
前回の記事で、長期トレードのポジションの取り方や決済方法の案についてご案内しました。
【前回記事】
・月足トレードで生きてます|第9回 平均購入単価の引き下げ方[ゆったり為替]
簡潔に振り返りますと、「一気に新規売買しない。少しずつしよう」「一気に利食いしない。少しずつ利食いしよう」です(これがいつも正しいというわけではありません。トレード手法は無数にあります)。
しかし相場が読めるならば、分割なんて面倒なことをしなくて良いはずです。買うべきところで一気に買い、決済すべきところで決済すればOKです。そうしないで分割する理由は、相場の動きを読むのが困難だからです。利食いできることもあれば、損切りになることもあります。勝ったり負けたりを繰り返しながら、最終的にプラスになるように努力します。この点で、相場の読みは外してしまうことを前提にしなければならないでしょう。
一方、資金管理に外れはありません。例えば、どんなにレバレッジを高くしても2倍までにする、ドル円が70円を下回っても強制ロスカットにならないようにする、という資金管理ルールを作ったとしましょう。後は自分の意思で実行するかしないか、という話です。
ルールを守っている限り、資金管理は私たちを裏切りません。ルールを守っていたのに、気づいたらレバレッジが勝手に5倍になっていた!というのはあり得ない話です。私たちは、相場を制御できません。しかし、資金管理は制御できます。資金管理を万全にしつつ相場に立ち向かいましょう。
損切りを設定しない長期トレードもOK
なおFXのトレードにおいては、損切りを設定することが必須のようにいわれることがありますが、超長期トレードにおいてはその限りではありません。
例えば、豪ドル円やNZドル円を買うときのスワップポイントはずっとプラスだと想定して、スワップポイントを得る目的のトレードをするとしましょう。レバレッジ1倍未満で豪ドル円やNZドル円を買えば、後は放置できます。極端な話、為替レートが1円になってしまっても強制ロスカットにならないようにできます。一方、スワップポイントはプラスですから、収入が毎日あります。
為替レートが1円になるという例は、あまりに極端です。しかし、この例で明らかなように、長期トレードの場合、ロスカット注文を採用しない取引が可能になります。その根幹部分で最重要なのが資金管理です。自分は口座にいくら入金しているか、どの通貨ペアをどれだけ売買しようとしているのか、利食い目標や損切り目標に到達するときの損益はいくらか、損失になる場合、その額に精神的に耐えられるだろうか…こういったことを十分に検討してから、取引を開始しましょう。
為替レートが上昇する、下落するという読みは、資金管理の後でゆっくり行えば十分です。何しろ月足トレードですから、一つの足ができるまでに1か月も時間がかかります。慌てる必要はありません。そして取引を開始した後は、ポジションを持っていることさえ忘れるくらい気負わずにリラックスした状態で過ごすのが理想です。月足トレードですから、決済するまでに少なくとも数か月以上かかります。数年以上かかる場合もありますから、のんびり待ちましょう。
※この記事は、FX攻略.com2018年2月号の記事を転載・再編集したものです
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ゆったり為替さんの月足トレードスタイル
売買スタイル
長期トレードとリピート系注文に力を入れています。週足から月足を使うトレードが中心です。
トレードのスケジュール
【午前6時〜7時ごろ】
NYクローズ後のニュースを流し読み(5分くらい)。その後チャートを確認(5分〜10分)し、スプレッドが狭くなってきたところで売買。トレードに要する時間は、1日10分〜15分くらいです。
【日中】
日中は、バックテストをしたり、経済指標の分析やFX各社のツールの研究をしたりします(時間は決めず、満足できるまで没頭)。これをトレードに含めるならば、かなり長い時間FXをしているということになります。
取引しているFX会社
用途に応じて多数。最も資金を投入しているのはセントラル短資FXで、スワップ狙いをしたり、実験的なトレードをしたりしています。
チャート分析の環境
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主にトレードする通貨ペア
20通貨ペア以上を取引対象としています。週足〜月足のトレードの場合、通貨ペアを幅広く確認しないと取引機会が少なくなるためです。
トレードスタイルのポイント
キーワードは「老後」「年金不安」。年老いて働けなくなり判断力が衰えてもなお、FXを収益源にできるか、ということに重きを置いています。
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「これからFXを始めよう」と思ったとき、意外と悩んでしまうのがFX会社、取引口座選びではないでしょうか? でも大丈夫。ご安心ください。先輩トレーダー達も最初は初心者。みんなが同じ悩みを通ってきているんです。
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\FX会社によって違うところをチェック/
スプレッド | FX取引における取引コスト。狭いほうが望ましい。 |
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約定力 | 狙った価格で注文が通りやすいかどうか。 |
スワップポイント | 高水準かどうか。高金利通貨の取り扱いの数。 |
取引単位 | 少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。 |
取引ツール | 提供されるPC・スマホ取引ツールの使いやすさ。MT4ができるかどうか。オリジナルの分析ツールの有無。 |
シストレ・自動売買 | 裁量取引とは別に自動売買のサービスがあるかどうか。 |
サポート体制 | サポート内容や対応可能時間の違いをチェック。 |
教育コンテンツ | 配信されるマーケット情報や投資家向けコンテンツの有無。 |
キャンペーン | 新規口座開設時や口座利用者向け各種キャンペーンの内容。 |